近江庭園のお庭トーク | 心惹かれるお庭の力があなたのビジネスに新たなバリューを

地産地消。

作成者: 寺下 真司|2020年3月18日

3月も中旬に入り、早咲きのサクラが咲いていますね。



サクラは春を感じさせてくれますが、暖かい日が続くなと思いきや、急に寒くなる日もあったりと、
外仕事をする私たちの中でも、気温の急な変化に対応しきれず、体調を崩すものもおり、
体調管理の難しい季節です。
コロナウィルスの影響もまだまだ先が見えない状況ですので、
手洗い・うがいをしっかりして、元気な日々を過ごしていきましょう!

 

さて、今私たちは兵庫県神戸市にてあるお仕事をさせていただいております。
なかなか材料の搬入に制限があったりと頭を使う現場ですが、一歩一歩完成に向けて
日々頑張っています。

 

その土地その土地のもつ良さを生かす。

私たちの扱う石・植物・樹木などは同じ物が一つとしてなく、その土地その土地で全く違います。

たとえば石でいうと、産地によって、色が違ったり、形状が違ったり、
また山の石、川の石、海の石でまったく表情が違います。
そしての違いをうまく取り入れ、お庭という空間を作るのが私たち、造園に携わる者の仕事です。



また植物・樹木でいうと、寒いところで育った物、暖かいところで育った物、養分の少ない痩せた土地で育った物、反対に養分の多いところで育った物など様々で、一つ一つに特性(人間でいうところ性格・素質)があります。
石と同様にそれらを理解し、日本らしい四季の変化を演出するのも私たちの仕事です。

 

先日の記事に私たち造園の技術者は本当にたくさんの種類の技術・仕事を覚える必要があるということを
お伝えしましたが、今取り組んでいるお仕事の中での「石を積む」という作業を例にあげても、その積み方は様々です。

なぜ積み方が違うのかというと、最終的な見た目・デザイン面からという部分は非常に大きいのですが、
どちらかというと、その石本来のもつ形状を最大限生かすにはどの積み方がよいかということを判断して、
石を積むため、違いが生まれます。

 

今回も、すでにお庭がありました。
お庭を利用する、活用するという観点から少しお庭の形状を変えているのですが、
その中心となるのが、石です。

そこにあった石を一旦外し、まったく新しい別の種類の石を捨てるのではなく、
再利用することで、石を捨てるという無駄な行為を行うのではなく、
今までとは違う役割を与え、人々の心を動かすような空間演出ができればと計画しました。

 

私たちの技術者は石を扱うことを得意としています。

石の扱いには迷いが比較的少ない方ですが、今回の積み方は、今の時代では
かなり頻度が少なくなっている「崩れ積み」という積み方ですので、一つ一つ慎重に積み上げています。

私たちが慣れた方法、かつ短期間で仕上げるという面については、この積み方は非効率的な部分も
ややあるのですが、それ以上に今回兵庫県神戸市という土地の良さを演出するために、
また今までの時間の中で作られた目に見えない思い出・面影を少しでも残すことができたらいいなと思います。

完成まで今少しかかりますが、ここを訪れる人が笑顔になるような空間に仕上げれるように頑張ります。