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石像美術とお庭づくり

作成者: 寺下 真司|2019年10月8日

今日から新しい季節の始まりです。

寒露 かんろ

朝晩の冷え込みが厳しくなってくる季節。

樹木や草花の葉っぱについている雫が冷たくなっているのに気づきます。

 

初候:鴻雁来  こうがんきたる 10月8日〜12日

次候:菊花開 きくのはなひらく 10月13日〜17日

末候:蟋蟀在戸  きりぎりすとにあり 10月18日〜22日

 

寒露の初候で、今は 鴻雁来  こうがんきたる という季節です。この時期に雁が日本に渡ってきます。その年の秋に最初に北の方から渡ってきた雁のことを「初雁(はつかり)」と呼びます。お茶のお稽古の中で毎年この時期になると、その名「初雁(はつかり)」という名のお菓子をいただくのですが、最初は中に何が入っているのかわからず、中に入っている物が百合根であることを知ると、とても新鮮な気持ちになったのを思い出します。

また初秋から中秋にかけて吹く北風のことを、ちょうど雁が渡ってくる時期に吹くので、「雁渡し」と呼ばれます。

今は様々なものがあり、情報に溢れ、何気ない日々の変化に目を向けることが少なくなってきていますが、本当に昔の人たちは季節の変化、虫や動物たちの変化を暮らしの中に取り入れ、何気ない日々が豊かになるように工夫していたことに気がつくと、なぜか心がほっとします。

 

石像美術とお庭づくり

石像美術というと少し大げさに聞こえるかもしれませんが、お庭づくりの中で、大切な要素として、自然の石、また石で作られた燈籠や彫刻物、また仕上げ材料として使用する板石などがあります。

その中でも、日本庭園、お庭と聞くと燈籠を思い浮かべる方も多いと思いますが、今回ご紹介させていただきたいのが、大きな燈籠ではなく、お庭の広さに関係なく活用できる置燈籠(おきどうろう)と呼ばれる物です。今では灯篭の中にろうそくを灯して、夜道のあかりとして利用することは珍しくなりましたが、昔は夜のあかりとして利用されていました。

先日ご紹介をさせていただきました桂離宮の中にも様々な種類の燈籠が置かれていますが、その中でも有名なものが三光燈籠と岬燈籠です。これに寸松庵燈籠を加えると、三大置燈籠と呼ばれたりしています。

一つ一つの型に名前がありますが、名前が同じだからと言って、まったく同じというわけではありません。

すべての工程を手で打って、最終の形を作ることは珍しくなりましたが、今でも石を削る道具・機械を使用して、一つ一つ人の手によって作られています。その関係もあって、作り手の技術、作り手の思い、石の産地、色などにより同じ形につくったとしても微妙に仕上がりが違い、その微妙な違いにより、その燈籠が醸し出す風合い、雰囲気は全く違う物になります。そして、それらをお庭の中でどのように置くか、どのように使うかにより空間演出としての効果が全く違うものになります。

お客様のモノへの思い x 伝統技術  → 特別な体験・時間 

過去に弊社でもこれらの置燈籠を使用してデザインし、庭づくりをさせていただきましたが、石像美術としての高価なもの、もしくは珍しい物ではないかもしれませんが、その時その時のお客様の思いのこもった大切なものとして扱い、場所、向き、高さなどを変えることで新たな価値を吹き込み、お客様に掛け替えのない時間を与えてくれる空間としてのお庭づくりの中で大切な役割を果たしています。

今、計画中のプロジェクトの中でも、ここの空間はこのようにしたい、こうみえるようにしたいなど、様々なこだわりがあり、それをどのようにすれば最も効果的かということを考えることは、正直なところ簡単ではありませんが、何度も何度も考えて、私たちなりにできることを精一杯努力し、最終的に喜んでいただくことを目標として、頑張ります!