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古きから細部を学び、現代に取り入れる。

作成者: 寺下 真司|2019年10月1日

蟄虫坏戸 むしかくれてとをふさぐ

暦の上では虫たちが一足早く冬眠の支度を始める時期。

冬眠。。。とは程遠く、まだまだ暑い日中ですね。

弊社の職人たちも毎日、汗をながしながら、一つ一つの仕事に取り組んでいます。

 

夏の暑さも少し和らいできた関係もあってか、多方面からお問い合わせのご連絡をいただいており、
頭を悩ましながらご期待に答えられるよう、設計を進めていますが、何名かのお客様から
桂離宮がすきなのよ、というお声を頂戴します。

 

桂離宮とその細部

桂離宮は、京都市西京区の桂にある17世紀に八条宮の別邸として創設された様々な建築物と庭園から構成される皇室の関連施設です。

桂離宮の建築・庭園は一般の方でも拝観することができるのですが、事前の申し込みが必要で、ふらっといって、拝観できることは残念ながらできません。私も何度か勉強のために拝観したことがあるのですが、敷地がおおよそ7万平方メートルもある広いため、何度か伺っただけでは全てのことを知ることは到底無理です。

会長が修行時代の頃、宮内庁御用達としてさ出入りを許されていた小島佐一氏と一緒に、樹木維持・修繕作業に多く携わらせていただき、仕事の合間に、当時の話をよくしてくれます。

その中でも何度も話にでてくるのは、私たちがこう行った歴史ある場所に伺う時に、プロとして景色を勉強しにいくのではなく、プロとして日々の仕事に活かすことのできる細部に目をむけろと。

当たり前のことかもしれませんが、それを徹底している職人はモノの見方が変わり、自分たちの仕事にどのように活かすことができ、私たちにご依頼をいただくお客様の期待に応えることができるようになると思います。

今回あるお客様から桂離宮のこんな感じが好きなんだよねと、雑談の中でのお話から、それを設計の中に組み、提案をする準備を進めています。構成要素としては、方形(真四角)の飛び石と小さな石を綺麗に張り詰めた霰零(あられこぼし)と呼ばれる技法の組み合わせです。ぱっとみても、かっこいいですよね笑。

何事においても新しいこと、奇抜なデザインが注目されがちですが、日本は他国にない特徴的な歴史と文化があります。それらをどのように現代に取り入れることができるか、ということを考えることがまた新しい文化に繋がるのではと私たちは考えています。

この桂離宮の飛び石の乱れ打ちと、あられこぼしのデザインは昔の人たちはどのような考えでこれをデザインしたのか正直なところ創造もつきません。。ただ確かなことはデザインだけでなく、これを形にする技術力があり、その2つの力が絡み合い、現代まで残り、多くの訪れる人を感動させている空間作りに繋がっているのだと思います。

このような仕事を私たちができるといいなと感じました。