前回の記事では西欧の庭園について書きました。
今回は日本の庭園について書いていきます。
Let's 比較!
一方日本は、神道と仏教の国です。
神道は日本土着の自然崇拝で、「八百万(やおよろず)の神々」が存在し、全てのものに神が宿るとされます。
そのため日本人は古来から自然を畏れ敬い、命あるものとして大切にし、共生の道を辿ってきました。
その思想。というか感覚は、明治時代以降、西欧文化の流入に伴い薄まってきてしまいますが、今も神社に「鎮守の森」と呼ばれる森や木々が都内でもギリギリ残っているのはその名残といえます。
飛鳥時代、仏教は造園技術と時を同じくして大陸から伝わったとされています。
仏教といえども様々な宗派がありますが、なかでも日本文化に大きな影響を与えたのは禅宗です。
山水画、枯山水、能楽、茶道、生け花、日本の伝統芸能には禅の影響が「間(ま)」として表れています。
また、禅宗は数ある宗派の中でも、比較的自然を重要視しています。
禅宗ではお寺の中に仏像を置いても、それはあくまで象徴でしかなく、方丈の外の庭にこそ仏性が宿るとされます。自然こそが仏なのです。
これは神道の自然崇拝にも通じ、禅宗が日本人に受け入れられた理由の一つだと思います。
そうしてつくられた日本の庭園は、自然のありのままの姿を大切にし、華美さはなくとも落ち着いた美しさを感じられるものになりました。
天龍寺
また、禅僧が自身の悟りの境地を立体空間に表すため、庭に石を立てたのが始まりとされる「枯山水」や、禅に通じていた千利休が侘び茶とともに大成した「茶庭」も生まれます。
ちなみに飛び石や石灯籠、つくばい等の日本庭園を代表する添景物は、全て利休が茶庭に取り入れたのが始まりとされます。
枯山水では池をつくる代わりに白砂を敷きました。水を感じるためにあえて水を排したのです。
そうしてできた世界に類を見ない石庭は、「否定をもって肯定する」という意思を孕む白砂の余白を通してなにかを訴えかけてくるようで、とても魅力的に感じます。
大徳寺龍源院「東滴壺」
どうでしょうか。日本と海外の違い、少しでも伝わったでしょうか。
現代はグローバル化の影響であまりわかりませんが、文化を通して歴史を振り返ってみると、日本って明らかに異質でおもしろい国なんです。
今回は庭園をテーマに書いてみましたが、次回からはもっと身近なものでわかりやすく日本文化について書いていこうと思います。
日本古来の自然観や、文化の根底にある「間(ま)」に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
記事・・・飛田亮
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