前回に引き続き、滋賀県野洲市にある兵主大社(ひょうずたいしゃ)の庭園をめぐっていきます。
↓前編はこちら↓
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兵主大社、紅葉も見ごろを迎えていました。
素晴らしく美しいです。つくづく日本に生まれてきて良かったと思います。
紅葉に紛れて、少し早目のご対面。「ミツバツツジ」が一輪だけ、咲いていました。
透き通るような鮮やかな桃色が美しい。そして一輪だけというのがまたいい。
千利休のエピソードに、「アサガオが美しいからと秀吉を茶会に招いたとき、庭のアサガオを全て刈り取り一輪だけ床の間に飾ってもてなした」という話があります。
それは少しやりすぎかもしれませんが、一輪だからこそ際立つ美しさ、そして儚さがあると感じました。
こちらの写真は苔むした朽ち木の切り株たちです。
個人的に大好きなものなのですが、身の回りの友人たちに話してもなかなか良さを分かってくれません・・・。
ですがきっと皆さんなら分かってくださると思います。
庭に景石を据えるように、苔むした朽ち木を据える時代が造園界にやってくる日を私は待ち望んでいます。
苔の小径を歩いているとき、石組を見ていてふと気づいたことがありました。
この3枚はそれぞれ別の築山なのですが、どれも山の頂上に「俺がてっぺんだ!」と言わんばかりに大きな石が据えられているのに気づきましたか?
そしてその両脇に2石、添えられるように据えてあります。
これがちょっと難しいのですが、恐らく「三尊石組」か「須弥山石組」だと思います。
三尊石組は仏教思想に基づいた、仏像によく見られる「三尊仏」を表したもので、3つの石がこのように並んだものです。
須弥山石組は古代インドの仏教思想に基づいた、宇宙の在り方を表したもので、山の頂上に大きな石を据え、その周りに九山八海を表すたくさんの石が据えられます。
ですが今回のケースは三尊石組にしては石の間隔が空きすぎているし、須弥山石組にしては周りの石の数が少ない・・・。
きっと2つが混ざったものということで、自分を納得させました!
どちらにしても、初期の日本庭園を代表する石組です。悠久の時を感じました。
ヒサカキ
サカキ
この2本の樹木はたまたま同じ場所に生えていて、対比がおもしろかったので紹介します。
どちらも黒い実がなっていますが、上の小振りな方が「ヒサカキ」、そして下のが「サカキ」といいます。
とても似ているようで似ていない樹木、同じ「ツバキ科」の仲間です。
そして神社の神事に使われることでもお馴染みですね。
本来は「サカキ」を使うのですが、サカキが分布していない関東以北の地域では、代わりとしてヒサカキを使ったそうですよ。
「ツワブキ」も見頃でした。
以上で、兵主大社の庭巡り終了です。
紅葉あり、苔あり、朽ち木ありと私としては大満足の庭めぐりでした!
神社は「鎮守の森」に囲まれているので、背の髙い木々が外界を遮断してくれる役目を担ってくれるので、それもどっぷりと庭の世界に浸れた理由でした。
次回は滋賀や京都の紅葉情報をお伝えしていきたいです。
記事・・・飛田亮
山野草の初心者も安心のネットショップ“GardenPorter”(ガーデンポーター)は、9月11日にリニューアルオープンいたしました。
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