滋賀県甲賀市にある「大池寺」について、前回に引き続き書いていきます。
さあ、いよいよ蓬莱庭園の御目見えです。
書院から観賞する枯山水式の庭園ですが、なんといっても刈り込まれた樹木の形がとても印象的です。
奥のギザギザに波打った刈り込み。ぐにゃっと弧を描く刈り込み。階段のような角ばった刈り込み。
どれも日本庭園ではあまり見ない形状をしていて、それらが伝統的な枯山水の白砂とマッチしているおもしろい光景です。
解説を聞くとこの形にはちゃんと意味があるようで、奥のギザギザの刈り込みは波、瓢箪のようなぐにゃっとした刈り込みは宝船、そして船の中にある七つの大小角ばった刈り込みは七福神を表しているそうです。
それらが白砂の大海原に浮かんでいると。そう聞くとなるほど〜と思いますね。
ちなみに樹種は「サツキツツジ」で、住職本人が刈り込んでいるそうです。
サツキが咲くころにきたらとても綺麗でしょうね。
手前の丸い刈込を見ると亀の形になっていました。
宝船を見守る亀。頭と手足に見立てて石が据えられています。こんなユーモラスな枯山水もあるんですね。
そして脇にある立ち蹲踞。奥に少し変わった石灯籠がありますが、あの丸い火袋は大海原に浮かぶ満月を表しているそうです。
作り込みようがすごいです。
こちらは「礼拝石(らいはいせき)」と呼ばれるもので、この平らな石の上から宝船を礼拝します。
日本庭園には「役石」と呼ばれる決まった役割をもつ石がたくさんあり、この礼拝石もその一つです。
礼拝石は「坐禅石」とも呼ばれ、池泉や石組、庭の眺望のよい場所などに多く据えられています。
石の上で坐禅しやすいように石の天端が平らなのが特徴なので、ぜひ日本庭園に行った際は探してみてください。
さて、この書院は茶室にも繋がっていて、なんと立ち入りOKとのことなのでそちらも紹介していきます。
私は茶室が大好きです。お茶はできませんが、見ているだけでも小さなギミックがそこら中に散りばめられているので、謎解きや宝探しのようでとてもおもしろいのです。
これぞ日本文化が誇る手間暇の美だと私は思います。
特にこの床の間は、毎回なにか必ず発見があるので楽しみで仕方ありません。
今回注目して欲しいのは床柱と床框。
この花入れもおもしろいですが、床柱を見てください。
遠目で見たときこの縞々が傷に見えたのですが違いました。これ、「シュロ」の木なんです!
床柱にシュロを使うケースなんてみたことがありません。というか普通柱の選択肢にありません!
シュロを使うとこんなおもしろい空間ができるのですね。感心してしまいました。
他にも2つ程おもしろいポイントを発見したのですが、長くなってしまうのでまた次回にします。
他にも小さな坪庭などもあったのでそれも合わせてまた次回、お楽しみにしていてください。
記事・・・飛田亮
山野草の初心者も安心のネットショップ“GardenPorter”(ガーデンポーター)は、9月11日にリニューアルオープンいたしました。
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