突然ですが皆さん、石好きですか?
樹木やお花もいいけれど、姿かたちはどうであれ石もまた庭において重要なものだと思います。
樹木やお花と同じように地球の大自然に育まれ、同じものは一つとしてない様々な色や形で楽しませてくれる石。
その中でも特に観賞価値があるとされる全国各地の名石を紹介していきたいと思います。
まず石の種類は火成岩、変成岩、堆積岩の大きく3つに分類されます。
一度に説明すると大変なので、その中でも今回は火成岩に絞って紹介していきます。
火成岩はマグマが固まってできたもので、地中深くで熱と圧力を受けながら固まったものを深成岩、地表や地下の浅いところで急激に冷やされて固まったものを火山岩といいます。
さらに深成岩は花崗岩、班れい岩、閃緑岩に。火山岩は安山岩、玄武岩、石英粗面岩に分類され・・・という感じですごくややこしいので、ここからはひとつひとつの分類ごとに庭石を紹介していこうと思います。
地球上で最も広い分布のある石で、「御影石(みかげいし)」の呼称で庭石としてもたくさん使われています。
石質は緻密で固いため強度があり、風化に強く耐久性はあるが耐火性に劣ります。
鉄分を含むため風雨にさらされて酸化すると酸化鉄という錆が発生します。
白御影の呼称で呼ばれ、日本の花崗岩の中で最も白いとされる最高級石材です。
東京駅や最高裁判所にも使われ、建築材や墓石、石垣や灯籠などの石造品として庭にも使われています。
羽咋市芝浦海岸の滝地区から産出される石で、表面が水の浸食で滑らかになり、亀裂が入るのが特徴です。
濡れると独特の模様が浮かび上がるのが美しく、兼六園を始め全国的に有名な石です。
全体的に灰色がかった御影石で、加工がしやすく建築材や墓石、敷石や板石としても使われます。
落ち着いた風合いの色と質感があり、強度が強く複雑な加工には向きませんが風化が少なく景石や石積みなどに使われます。
表面がざらざらとした多孔質なので苔が付きやすく、滑りにくいので飛び石や沓脱石にも向いています。
岡崎市で採れる牛岩青石、吉祥石、小呂石などを合わせた別称を三州御影と呼びます。
青みがかったグレーをしていて、強い光沢と耐久性があります。
別名「菰野石」。硬質で錆つきにくく、丸みを帯びた白く輝く岩肌が特徴的です。
大型のものを採ることができ、大きな飛び石や張り石としても使えます。
白く緻密な石材で近世までの京都のほとんどの石造品や建造物に使われてきました。
比叡山が白川石の産地でしたが昭和時代に閉鎖され現在採掘されていません。
風化したものを白川砂と呼び、龍安寺の石庭などの名園に多く使われています。
御影石の名の由来となった花崗岩。元祖御影石です。
淡い紅色が美しく、桂離宮の飛び石にも使われています。
現在採掘されておらず、かなりの希少価値があります。
瀬戸内海に浮かぶ北木島で採れ、色は白と錆色の2種類があり石にねばりがあって加工しやすいといった特徴があります。
大阪城の石垣や、靖国神社の大鳥居などに使われています。
別名「桜御影」とも呼ばれ、桃紅色の長石を含むため色鮮やかです。
見た目とは裏腹に国内でもトップクラスの硬さを持ち、多くの著名人の墓石に使われるなど世界中から愛されています。
国内最高峰の知名度と価格を誇る高級石材です。
「花崗岩のダイヤモンド」と呼ばれ、水晶に匹敵する硬度をもちます。
きめ細やかな斑模様が美しく、数百年は艶や文字が崩れないと言われています。
花崗岩と比べ有色鉱物を多く含み、通常暗黒色〜暗灰色をしていて極めて硬質です。
研磨すると黒く輝くことから閃緑岩と同じく「黒御影」とも呼ばれます。
日本には分布が少なく、他の深成岩と比べあまり庭には使われません。
鉄やマグネシウムを多く含むため重く、酸化によって徐々に黒褐色に変化していく味わい深い石です。
表面にはつぶ状の突起があり、ざらざらとしています。
以上、次回は深成岩の残りの閃緑岩と、火山岩を紹介していきます。
記事・・・飛田亮