戦後ここ数十年でグローバルな時代が到来し、園芸界でも国際交流が盛んにおこなわれ、 今ではありとあらゆる植物が簡単に見られ、手に入る時代となりました。
もともと日本になかった植物を愛でることは大変おもしろく、趣味の幅が広がります。
しかし海外から植物を持ち込むことは良いことばかりではありません。
丈夫な性質をもつ外来種がこぼれ種で増えていき、もともと日本に自生していた植物を駆逐してしまうなんてケースもよくあることです。
ただ繁殖するだけならまだしも、中には人の営みを阻害するに至るものもあり、今問題視されています。
そこで今回は日本生態学会が定めた「日本の侵略的外来種ワースト100」から日常の中で割とよく目にするものを選んで紹介していきます。
もし皆さんのお庭や近所に生えていたら注意が必要かもしれません。
樹高5m程になる低木で、春から夏にかけて黒褐色をした花を穂状に咲かせます。
葉は羽状複葉で、法面の緑化や砂防として1940年以後盛んに導入されてきました。
日本の厳しい季節の変化に耐える耐暑性、耐寒性、耐乾性を備え、今では日本各地で野生化しています。
霧ヶ峰や白山などの在来植物を圧迫しており、伐採するなど対策が進められています。
草丈は1.5m程になり、夏から秋にかけて黄色い花を咲かせます。
特有の悪臭があり、種子はとても固く丈夫で20年近くに渡って発芽能力を保持します。
日本では1905年に定着が確認され、作物繊維や飼料に混ざって全国に波及しました。
乳牛が誤って口にすると悪臭がミルクに移り、商品価値を損ねます。
生育期の夏になると1.5〜2m程の草丈になる、雑草扱いされる代表的な植物です。
名前の通り道端や荒れ地に根を張り、成長します。
1929年に日本への侵入が確認された、オナモミの仲間で最も大きい種です。
日本にもともと自生していたオナモミを飲み込むように繁殖していき、結果今日本のオナモミは絶滅の危機にあるといいます。
日本固有のタンポポとの違いは、開花時に総苞片と呼ばれる萼のように見える部分が反り返るのがポイントです。
日本固有のタンポポと交雑し、いま日本にあるタンポポの8割が本種と本種の交雑種であるといわれています。
切り花用に輸入されたものが1970年ごろに大繁殖し、今では全国の空き地などに自生しています。
自信を含む周りの植物の成長を抑制するアレロパシー効果を持つため、年々勢いは減少しつつあります。
春になると白とピンクの花を咲かすキクの仲間です。
1920年代に観賞用に持ち込まれ、拡大していきました。
道端や畑に自生し、作物の生育を阻害したり従来の植物の生育を妨げています。
浮き袋状の葉を水面に浮かべて生育する水草です。
強健な性質をもち水面一面を覆い尽くすように成長し、既存の植物の生育を阻害したり、水路を塞ぐ等の被害が出ています。
水面に浮かんで成長する水草で、夏になると青紫色の花を咲かせます。
水面一面に広がるため既存の水草の生育を阻害し、アレロパシー効果をもっています。
熱帯植物なので日本では冬に一斉に枯死することがあり、水質悪化や悪臭を引き起こします。
以上、「日本の侵略的外来種ワースト100」の中から割と身近に危険性があるものを紹介してみました。
皆さんのお庭や近所、地域に被害が出ることのないよう注意していきましょう。
記事・・・飛田亮