一般的にはおよそ450万年前、二足歩行をする猿人が出現したことから人類が誕生したといわれています。
それから人類は様々な進化を遂げ今日まで歴史を紡いできたわけですが、そこにはやはり「道具」の存在が欠かせません。
特に縄や布等の「繊維」で作り出した道具は、文明を圧倒的に飛躍させた大発明といわれており、それには植物繊維が多く使われてきました。
そこで今回は人類最古の発明といわれる植物繊維として利用されてきた植物たちを紹介していきたいと思います。
大きく裂片する葉が特徴的で、成長がかなり早いことでも知られています。
古来の日本では最も馴染みの深かった植物繊維でしたが、現代の日本では栽培は禁止されています。
アサの繊維は衣服や履物、装身具、袋などに使われ、神道に関係のある神聖な植物でもあることから神社の注連縄など神事の際も使われます。
よく道端に生えており、現代では雑草扱いされています。
裏側の白い大きめの葉が特徴的で、地下茎で増えることから大抵群落をつくります。
茎を蒸して乾燥させることで繊維が採れ、衣類、紙、漁網などに使われます。
夏になるとハイビスカスのような黄色い花を咲かし、秋になると果実をつけます。
果実がはじけると中から白い綿毛が飛び出し、それを繊維として利用してきた歴史があります。
用途はタオルや衣類として使われてきました。
春になると青紫色の花を咲かす一年草ですが、園芸種では宿根のものも出回っています。
寒い地方でしか栽培できないので、日本では北海道のみに生息しています。
茎の繊維はリネンと呼ばれ、アサよりも柔らかくかつ強靭な高級素材として知られています。
大航海時代の船の帆はアマの繊維でつくられていました。
春になると黄色い花を咲かす落葉低木です。
必ず枝が三又に分かれるのが特徴で、日本では和紙の原料として古くから使われてきました。
同じジンチョウゲ科のガンピも同様に和紙の繊維として利用されています。
春に紫色の毛玉のような花を咲かし、夏に赤い実をつけるクワの仲間です。
ヒメコウゾとカジノキの雑種で、和紙の原料として利用されてきました。
コウゾの樹皮でつくった糸を「ゆう」といい、神道の祭事に使われました。
日本庭園にも植えられるヤシの仲間です。
幹は暗褐色の繊維質に包まれており、シュロ皮と呼ばれます。
シュロ皮の繊維はたわしや箒、縄などに利用され炭で黒く染めたシュロ縄は竹垣の結束によく使われます。
以上、植物繊維として使われてきた植物たちを紹介してきました。
現代ではほとんど化学繊維に頼り切りになっていますが、大事な歴史として覚えておきたいことですね。
記事・・・飛田亮