七草・・・というと春の七草を思い浮かべる人がほとんどだと思います。
せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ。
これら春の七草は万葉の時代から親しまれてきて、お粥に入れる七草粥としても使われてきました。
でも秋の七草もあるって皆さんご存知でしたか?
はぎ・ききょう・くず・ふじばかま・おみなえし・おばな・なでしこ。
同じく万葉の時代、山上憶良が歌に詠んだのがこの草花たちでした。
春の七草と違いお粥として食べることはできませんが、花の美しさで選ばれた草花たちなので観賞用の七草といえるでしょう。
秋の七草の中には、現代ではもう普通に目にすることは難しいものもありますが、今回は秋の七草の魅力を存分にお伝えできればと思います。
万葉集にもよく詠われており、古来より親しみ深い花木として知られています。
夏から秋にかけて蝶型の花を咲かし、小さな花が一斉に咲く様は見事です。
枝は株立ち状で枝垂れるように広がり、葉は三出複葉と呼ばれる三つ葉で出てくるのが特徴です。
強健な性質で地植えにするとあっという間に成長してしまうので、植え場所はよく吟味してから決めましょう。
夏に花を咲かせる植物ですが、秋の七草としても知られています。
花は端正な星形をしており、青紫色の上品な花姿が人気の植物です。
つぼみの時には花びらが全てくっついているのが特徴で、英名ではバルーン・フラワーと呼ばれています。
現代では絶滅危惧種に登録されるほど減少しているのが現状ですので、ぜひとも丁寧に育ててあげてください。
夏から秋に咲く花の観賞も然り、つるで籠を編んだり漢方や食用にも使われる有用植物として知られています。
現代ではあまり利用されなくなったため、空き地などでは低木類をあっという間に覆ってしまうほど蔓延り、つるも強靭なため造園業をやってる身としてはかなり厄介な存在です。
河川の岸など水辺に自生する植物で、奈良時代に中国から伝来して以来人々に愛されてきた植物です。
しかし現代では護岸工事や宅地造成などにより著しく減少し、野生では滅多に見れなくなってしまいました。
桜餅の葉のような甘い芳香を放ち、中国では「香水蘭」とも呼ばれています。
夏から秋にかけて黄色い花を咲かせる植物です。
オミナは「女」という意味で、美女をも圧倒する美しさをもつことが名前の由来です。
昔から切り花などとして使われてきましたが、現代では自生地が数少なくなってきています。
白花のものもあり、オミナエシより丈夫そうに見えることからオトコエシと呼ばれています。
お月見のときにはハギと共に飾られる、日本の秋の代表的な植物の一つです。
成長すると1m〜2mになり、花穂が風にたなびく様はいかにも郷愁を誘います。
かつてはススキ草原が作られ「茅」として屋根の材料などに使われてきましたが、現代ではあまり使われなくなったため雑木林と化しているケースが多いです。
ナデシコには様々な品種がありますが、昔から日本で親しまれてきた品種はカワラナデシコとして今も流通しています。
夏から秋の始まりにかけてピンク色の花を咲かせ、花弁の先に細かい切れ込みがあるのが特徴です。
園芸が盛んだった江戸時代には様々な品種がつくられ、いつの時代にも愛でられてきた植物です。
以上、昔から親しまれてきた秋の七草たちを紹介してきました。
ぜひ皆さんも秋の七草と一緒に秋の訪れを感じてみてください。