街の景色がどこか殺風景に感じるこの季節。
その原因の一つは、夏にはあんなに茂っていた街路樹たちが一斉に葉を落とし、幹だけになったしまったことが大きな要因だと思います。
今まで当たり前にあったはずのものがなくなっている。
気温の変化もそうですが、そんな喪失感で日本の冬をしみじみと実感する方も多いのではないでしょうか。
さて、そんな葉を落としてしまった落葉樹たちですが、なにも残念がる必要はありません。
春にはまた芽吹きを楽しめますし、なによりこの季節だけが、幹が露わになった樹木たちをまじまじと眺めることが出来るのです。
美しい幹の線や幹肌、枝ぶりのたくましさ、梢の繊細さなどなど、日の光を求めてこの一年生き抜いたそれぞれの樹木たちの自然樹形をいくらでも観察できるのです。
そう考えるとなんだか冬がとても貴重な季節に思えてきますね。笑
さて、そこで今回は幹の線や色、枝ぶりなどが美しい落葉樹たちを紹介していきます。
夏にピンクや白の縮れた花を咲かせるポピュラーな樹木で街路樹、庭園樹ともによく植栽されています。
幹肌がツルツルしていて艶があり、樹皮がはがれた模様が美しいです。
街路樹などで同じ所で強剪定されているものはコブができていて自然樹形のものと比べると美観を損ねます。
夏に白い花を咲かせるツバキの仲間です。
仏教に出てくる沙羅双樹に似ているためシャラノキとも呼ばれます。
樹皮は赤みを帯びて艶々しており、つい幹肌に触ってみたくなるような魅力があります。
ナツツバキの仲間で、夏に白い小振りの花を咲かせます。
ナツツバキと比べると葉や花が小さめなのが特徴です。
幹が赤みを帯びて美しく、スラーっと伸びた株立ちのものはより幹の線の美しさが際立ちます。
春に白く細かい花を咲かせるトネリコの仲間です。
株立ちのものが人気で、細くスラーっと伸びた幹の線が美しく雑木の庭によく植栽されます。
年月が経つと灰色の幹に白い模様が現れます。
街路樹としてよく植栽されており、樹形の美しい樹木の代名詞といっても過言ではありません。
まるで箒を逆さましたような樹形で、太い幹と繊細な梢からなる整然とした樹形の美しさが魅力です。
街路樹や庭木として雑木の庭などに植栽される落葉高木です。
春に白い小花を咲かせ、秋に真赤な実をつけます。
ケヤキ同様、箒を逆さまにしたような樹形に育ちます。
日本の山野に生える落葉高木で、街路樹や庭園木として植栽されます。
樹皮は灰白色で、縦に美しい縞模様が入ります。
春にピンクや白色の花を咲かし、秋に黄色い果実を付ける果樹です。
幹肌は赤みを帯び、スベスベで樹皮の剥がれた模様が美しいです。
花も果実も幹肌も、四季を通して楽しめる樹木です。
北海道や本州の中部などの冷涼な地域に分布する落葉樹です。
白い幹肌が美しく、日の光を反射してきらきらと輝きます。
以上、幹肌が美しい落葉樹たちを紹介してきました。
これを機に、ぜひ葉が落ちた後の樹木たちにも目を向けてみてくださいね。
記事・・・飛田亮