庭において最も欠かせない要素を挙げるなら、植物、石、水。
この三要素は絶対に庭とは切り離せない存在ですし、これだけで充分に魅力的な庭が構成できるでしょう。
そして中でも植物。
庭に植物を植えるのは万国共通ですし、樹木一本、花壇一つあるだけで空間が和やかに様変わりします。
さて、我が国日本の庭には植物をはじめとする主要な要素以外にも、庭を彩る様々なものが独自に取り入れられてきました。
それは例えば竹垣だったり、石工品だったりと実用的なものから観賞用のものまで様々です。
そしてそれらは職人たちの手によって今もなお進化し、現代の新たな形が生み出されていることは皆さんご存知でしょうか。
今回はそんな庭の魅力を惹きたてる名脇役たちを、昔からあるものは皆さん見たことがあると思うのでなるべく現代の作例をもとに紹介していこうと思います。
単なる屋根材としてではなく、庭に置いて多種の可能性をもつ瓦。
使わなくなった古瓦を利用して作庭する場面も増えました。
古くから使われてきた素材なのに庭に取り入れるとモダンな雰囲気になるのが不思議です。
心洗われるような鮮やかな緑が魅力の苔。
海外での人気も高く、イギリスのチェルシーフラワーショーでは日本人がつくる苔をふんだんに使った庭が賞を取ったり、ゲリラ的に壁に苔で絵を描くアーティストが活動しているようです。
竹のもつ直線美としなやかさを最大限に活かす竹垣は、現代においても職人によって様々なものが創作竹垣としてつくられています。
その可能性はまさに無限大ではないでしょうか。
庭の趣をぐっと高める竹を使った様々な小道具たちです。
中には竹細工なんてレベルじゃないものもありますが、面白いので載せてみました。
土壁や築地塀、版築など日本では昔から様々な土塀がつくられてきました。
昨今は様々な色の土の層が幾重にも重なる版築土塀が人気のようです。
昔はとても身近な存在だった藁。
庭においてはわらぼっちやこも巻き、正月飾りに使われてきましたが、そんな普遍的な藁をアートに昇華させる動きがあるようです。
庭師の石積みは単なる土留めとしてではなく、石の美しさを見出しその庭にあった石選びと積み方が求められます。
熊本地震でも全壊しなかった日本が誇るべき穴太積みは、張り石みたく石の目地がきっちり合わさってはいなくても、えくぼの様な石の表情が活き活きとした美しい石積みです。
日本庭園の重要な添景物である石灯篭も、昨今では日本庭園を作る機会が少ないためあまり需要がないかもしれません。
最近では気軽に庭に飾れる小さな石灯りが人気で、香川県では石灯りロードというイベントが毎年行われています。
以上、庭の魅力を引きだす名脇役たちを紹介してきました。
みなさんも新たな日本庭園の可能性を探ってみてはいかがでしょうか。
記事・・・飛田亮