早いもので新年が明けもう10日も経ってしまいました。
今年の冬はあまり雪が降らず、なんだか暖かく感じます。
寒さが苦手な私にとってはありがたいですが、雪は降って欲しい。
なぜって雪の降り積もった日本庭園が私は大好きだからです。
庭の随所に垣間見える人の作為を白い雪が覆い隠し、白と黒の水墨画のような世界が広がる。
禅味を孕んだ美しさに日本人としての心の琴線が揺さぶられます。
普段は厳つい表情の石たちも、白い帽子をかぶって可愛らしく見えます。
皆さんも雪が積もったらぜひ行ってみてくださいね。
さて、今回紹介するのは日本庭園の役石です。
役石とは決まったある役割を担った石のことで、日本庭園にはたくさんの役石が据えられているのです。
この役石が分かれば庭園巡りもよりいっそう楽しくなると思うので、ぜひ覚えてみてください。
縁側に据えられる石で、履物を脱ぐ場となるので沓脱石と名付けられました。
屋内外から出入りしやすいよう他の石より高く、天端が平らな石が使われています。
飛び石の始点・終点に据えられる石です。
他の石よりも大きいものが据えられることが多いです。
園路の分岐点に据えられる石です。
他の石よりも大きく、少し高めに据えられることもあります。
茶室の躙り口に据えられる役石の一つです。
刀を置く棚の下に据えられ、二段になっている特徴的な形をしています。
天端が平らで人一人が座れるくらい大きな石です。
禅宗との深い関わり合いが窺い知れます。
滝石組の役石の一つです。
鯉が滝を上ると龍になるという中国の故事「登竜門」に因み、鯉に見立てた石を滝の下に据えます。
仏教の不動明王に見立てた石で、同じく観音さまに見立てた観音石と番いで据えられることが多いです。
先の尖った巨石を立てて据えたり、滝石組の役石として据えられることも多いです。
仏教の三尊仏に見立てた石組みです。
真ん中に背の高い「中尊石」、両脇に背を低めた「脇侍石」を据えます。
茶庭において夜の茶事の際、手燭を置くための石です。
湯桶石と対の位置に据えられます。
茶事の際、湯桶を置くための石です。
手燭石と対の位置に据えられます。
つくばいの前に置く、手水を使う際に乗る為の石です。
つくばい以外にも、灯篭の前に据える石のことも前石といいます。
茶事の際、従者が手水の水を汲んで差し出すときに足を置くための役石です。
清浄石とは対の位置に据えられます。
水汲石とは対の位置に据えられる立石で、水汲み石との調和を保ちます。
茶事において主人が手水鉢に水をあげたり掃除するための石です。
縁側から見て手水鉢の後方に据えられます。
濡れ縁の下に据えられた役石です。
鉢からこぼれた水が建物にかからないよう水返しの役目があります。
青石が据えられることが多いです。
以上、日本庭園の役石たちを紹介してきました。
ここで紹介したのは序の口で、まだまだたくさんの種類の役石があります。
役石のことを知ればよりいっそう庭園への知識が深まり、興味が沸いてくると思うのでぜひみなさんも覚えてみてください。
記事・・・飛田亮