私たちの生活に無くてはならないもの、お金。
毎日誰しもが触れている身近な存在ですが、果たして皆さんはお金を隅々までじっくり観察したことがあるでしょうか。
1円玉から1万円札まで、お金をじっくり見てみるとそこには必ずといってもいいほど植物の姿が見られます。
なぜこんなにも植物なのか。
きっと古くからの日本人と植物の関係を尊重しているのかと思いきや、調べてみるといろいろ面白い事実が発覚しました。
ということで今回はお金に描かれた文様について紹介していきたいと思います。
普段何気なく使っている一円玉ですが、その表には大きく若木が描かれています。
実はこの木は架空のもので、一般の公募デザインの中から選ばれたものだそうです。
鋸歯のない広葉、互生、1円玉の大量生産性からしてモチノキを連想してしまいますが、皆さんはどうでしょうか。
ちなみに硬貨の表裏は、製造月日が書かれている方が裏とされています。
ご縁があるということでよくお賽銭に使われる五円玉。
表にはイネ、多数の水平線、穴の周りには歯車が描かれていますね。
これはそれぞれ、農業、水産業、工業を表しているといいます。
また裏側には小さな双葉が描かれていますが、これは民主主義にむかって成長する日本の芽生えを表しているそうです。
京都の世界遺産、平等院鳳凰堂が大きく表を飾る十円玉。
その周りには、植物をモチーフにした細かい唐草文様が施されています。
裏面にはリボンに結ばれた枝の姿がありますが、どうやら特定の樹木ではなく「常盤木」とされているそうです。
常盤木とは常緑樹のことですが、常緑性、互生、シュッとした葉が枝全体に付く様子からゲッケイジュだと推測します。
月桂冠のマークをモチーフにしているように感じられました。
五十円玉は最初は穴が無い状態で登場しましたが、百円玉と間違えやすいという理由で穴が空けられるようになりました。
表には三輪のキクの花が描かれています。
キクは皇室の家紋や日本国パスポートの紋章としても使われており、それだけ身近で人気の植物といえますね
百円玉の表にはサクラが大きく描かれています。
サクラは花弁の先が二つに割れ、ウメは丸い形なので見分けられます。
子どもの頃のガシャポンのせいか、硬貨の中で最も親近感があるのは私だけでしょうか。
他の硬貨と比べてみるとシンプルなデザインで好感が沸きます。
硬貨の中で最も大きな五百円玉。
表には大きくキリの花と葉が描かれています。
キリの家紋は豊臣政権が主に用い、今では日本国政府の紋章にもなっている格式高いものです。
裏面には上下に竹の葉と左右にはミカン科のタチバナが描かれています。
竹は縁起物の松竹梅に数えられ、タチバナは日本固有の柑橘類で「左近のサクラ、右近のタチバナ」なんて言葉もある、日本人に所縁のある植物です。
今流通している千円札は2004年に新たなデザインに変わったもので、表面は野口英世がプリントされていますね。
裏には湖に映る富士山と、サクラが美しく描かれています。
他にもよく見るとサクラのデザインが各所に散りばめられています。
表面には樋口一葉と、左下のキラキラしたホログラムの中にはサクラの花がデザインされています。
そして裏面にはたくさんのカキツバタが描かれています。
このカキツバタは江戸時代の画家、尾形光琳の「燕子花図(かきつばたず)」がプリントされたもので、国宝にもなっています。
表面には福沢諭吉と、五千円札同様左下にはサクラのホログラムがあります。
裏面には平等院の鳳凰と、カキツバタの花が一輪デザインされています。
今まで紹介したお金のなかでは以外にも植物要素が少ないものとなっています。
以上、日本の通貨に描かれた植物文様を紹介してきました。
お金は身近な存在過ぎてあまりよく観察することはありませんが、こんなにも植物がデザインに使われていたんですね。
ちなみに旧五千円札にはマツが描かれていましたが、今ではカキツバタに変わっています。
なんだか昨今日本庭園をつくる機会が少なくなってきたのと同じような寂しさを感じました。
それはさておきぜひみなさんも身の周りのものに焦点を当てて、植物を探してみてください。
記事・・・飛田亮