近江庭園のお庭トーク | お庭のプロが厳選するお庭づくり・盆栽づくりのための季節の花だより

GardenPorterの庭づくり日誌〜シダレザクラが風にそよぐ自然風の庭〜

作成者: GardenPorter|2017年4月11日

皆さん、お久しぶりです。

先週はブログを更新しませんでしたが、それは庭づくりの出張に遠方に泊まり込みで行っていたためで決してサボりではありません。

泊まり込みで庭づくりする機会は数少ないですが、一つのお庭に最初から最後まで真剣に寄り添い完成させる貴重な体験ができるので私は好きです。

せっかくなので今回はその庭づくりの様子をまとめて記事にしていきたいと思います。

庭づくりといっても1からつくり始めるわけではなく、お庭のリフォームという感じでした。

ですのでそれ程日数もかからず、5日間程で工事は完了しました。

こちらが着工前。

16平米程の芝が張られたお庭ですが、ご覧の通り大量の鉢もので埋め尽くされていました。

つるバラを誘引する金属製のアーチが中央に埋め込まれ、せっかくのお庭が狭く感じられます。

まだ春の初めだからいいものの、夏ごろになれば葉が繁茂しきっと身動きがとれない状態になってしまうでしょう。

また、お施主様は大の花好きであるため鉢植え同様地植えにもたくさんの花木が植えられていました。

これらの花木も整理し、柔らかな風の吹くスッキリとしたお庭に仕上げたいものです。

という訳でまずは全ての鉢ものやアーチを取っ払うことに。

そしてこちらのシンボルツリー。

大きなヤマボウシですが、心機一転違う種類の樹木に植え替えることになりました。

ヤマボウシの周りの花木を掘り取りつつ・・・。

ヤマボウシの根鉢をなるべくコンパクトにまとめていきます。

男性の腕くらいの太さの根っこが四方八方に伸び、これをノコギリで切っては掘り、切っては掘りを繰り返すこと数時間。

ようやく幹を押すと根鉢が揺れるようになりました。

もうこうなったらしめたものです。

ある程度根巻きをして、一気にユニックで引き抜きます。

頑張って根鉢を掘った甲斐もあり、すんなり持ち上がってくれて助かりました。

しかし木が空を飛ぶ衝撃的な光景はいつまで経っても慣れる気がしませんね。

そしてすかさずシダレザクラを植樹。

「祇園紅枝垂れ」という京都で生まれた品種で、濃い紅色の花を咲かせます。

今年は枝の整理に剪定したため花芽が少なくなってしまいましたが、来年からはたくさんの花が咲き誇ってくれることでしょう。

鉢物やアーチを撤去し、花木を整理したことでとてもスッキリとしました。

さらに土を搬入し、切石を据えました。

この切石は後々お庭のアクセントになりますので、お楽しみに。

移動日も含めここまでで2日間経過です。

シダレザクラの剪定枝がもったいなかったので、ホテルに持ち帰ってブーケ風に飾りました。

このサクラが咲くころにはきっと工事は無事完了していることでしょう。

3日目は自然土風の舗装材で仕上げる為の、型枠工とモルタル打設。園路の下地を作ります。

薄いベニヤ板を曲げて型枠することで、直線ではなく柔らかな曲線を描き出します。

こうすることで自然風の庭に馴染む柔らかな雰囲気の園路が出来上がるのです。

翌日、すっかり乾いて固まったモルタル下地の上に自然土風舗装材を打設していきます。

園路の表面に凹凸ができないよう、慎重な作業が繰り返されます。

園路が固まるのを待つ間、瓦のモニュメントをつくることに。

2日目に据えた切石に瓦を規則正しく積んでいきます。

瓦のモニュメントは左右に2つ。それぞれ違う種類の瓦を使っています。

さて、いよいよ最終日です。

剪定枝ブーケも見事に咲いてくれました。

これはいい庭が仕上がりそうな予感がしますね。

園路が固まっているのを確認して型枠を慎重に外し、仕上げの下草を植えれば完成です。

柔らかな風が気持ちのいい自然風の庭に仕上がりました。

エクステリア用の椅子とテーブルも配置し、お庭でのんびりとくつろげるスペースもできました。

シダレザクラも咲き始め、家族だけのお花見も楽しめますね。

瓦のモニュメントが柔らかな雰囲気を引き締める良いアクセントになっています。

瓦は日本で古くから使われてきた和のマテリアルですが、庭に取り入れるとあまり威圧感がなくモダンでおしゃれな雰囲気をもつ不思議な素材です。

和風、洋風、自然風、モダン。

それぞれの要素を含有しながらも、うまく溶け合った唯一無二の庭に仕上がったと思います。

そして何より四季折々の花木に恵まれた楽しい庭になりました。

以上、今回の庭づくりの記録をまとめてみました。

またこういう機会があれば記事にしたいと思いますので、楽しみにしていてください。

記事・・・飛田亮