ついに梅雨に突入し、暑い夏はもうすぐそこまで迫っています。
猛暑の中のガーデニングはなかなかの覚悟が必要になってきますが、夏にしか咲かない花を愛でる楽しみもあるので、待ち遠しい気持ちがあるのも確かです。
夏に咲く花といえば、アサガオ。
小学校の授業で育てる機会がありますし、日本では昔から親しまれてきた花の一つです。
アサガオは古くは奈良時代に中国から伝来し、初めは薬草として育てられていたようです。
やがてその花の美しさ、可愛らしさから観賞目的でも庶民の間で人気が広がり、園芸が盛んな江戸時代にはたくさんの種類のアサガオが作出されていきました。
その中にはまるでアサガオと言われても信じられないような姿かたちをした「変化朝顔」と呼ばれる品種も生み出されます。
変化朝顔は数え切れないほどの多種多彩な花芸・葉芸が冴えわたり、その世界はかなり奥深いです。
今回はそんな今もなお園芸マニアから熱い視線を注がれてやまない変化朝顔の花を紹介していきます。
八重咲(やえざき)
雄しべの一部が花弁に変化し、雌しべが残った状態の花のことをいいます。
牡丹咲(ぼたんざき)
出典:http://yporcini.hateblo.jp/entry/2014/08/26/144542
雄しべも雌しべも花弁に変化した状態の花のことを言います。
花が大きく見え、雌しべがないため種子はできません。
台咲(だいざき)
出典:http://protist.i.hosei.ac.jp/Asagao/Yoneda_DB/J/species/L_F/F_C.html
花の中央の筒の部分が反り返り、折り返した状態の花をいいます。
台咲牡丹(だいざきぼたん)
出典:http://protist.i.hosei.ac.jp/Asagao/Yoneda_DB/J/PCD2523/htmls/34.html
台咲の筒の部分から出る雄しべと雌しべが花弁に変化した状態の花を言います。
車咲(くるまざき)
台咲に、「立田」という花弁に切れ込みが入った状態の花をいいます。
車咲牡丹(くるまざきぼたん)
出典:http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/mg-files/henka/cpdp/X21.html
車咲の雄しべと雌しべが花弁に変化した状態の花をいいます。
采咲(さいざき)
出典:http://yporcini.hateblo.jp/entry/2014/08/26/144542
花弁に切れ込みが入り、細くなった状態の花をいいます。
乱菊咲(らんぎくざき)
出典:http://protist.i.hosei.ac.jp/Asagao/Yoneda_DB/J/PCD2523/htmls/53.html
花弁がひだ状に変化し、不規則に切れ込みが入るものをいいます。
縮咲(ちぢみざき)
出典:http://protist.i.hosei.ac.jp/Asagao/Yoneda_DB/J/PCD2523/htmls/54.html
花弁の縁が反り返ったり内側に巻き込んだりと、皺が寄って縮れたように見える状態の花を言います。
桔梗咲(ききょうざき)
キキョウのような星形に花弁が変化した花で、八重咲種が多いです。
獅子咲(ししざき)
出典:http://protist.i.hosei.ac.jp/Asagao/Yoneda_DB/J/PCD2523/htmls/19.html
花弁に裏表がなくなり、強く巻いて糸状になったり、先端が急に広がったりする状態の花を言います。
獅子咲牡丹(ししざきぼたん)
出典:http://protist.i.hosei.ac.jp/Asagao/Yoneda_DB/J/PCD2523/htmls/21.html
獅子咲で、雄しべと雌しべが花弁に変化した状態の花を言います。
風鈴(ふうりん)
獅子咲牡丹の中で、細いひも状の花弁の先端が急に折り返した状態の花を言います。
流星(りゅうせい)
獅子咲牡丹の中で、細い筒状に変化した花弁の先端が折り返し、星がぶら下がって見える状態の花を言います。
覆輪(ふくりん)
出典:http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/mg-files/flowercolor/flower-pattern.html
花弁の縁に白い帯状の模様が入るものをいいます。
霞覆輪(かすみふくりん)
覆輪部分に淡い色味があり、中央部分に向かうにつれより淡くなる模様をいいます。
車絞(くるましぼり)
出典:http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/mg-files/flowercolor/flower-pattern.html
覆輪が中央部分にまで流れ込み、星形の模様を成すものをいいます。
縞柄(しまがら)
花弁の色地に白や淡い色味の縞模様が放射状に入る模様を言います。友禅柄とも言います。
時雨絞(しぐれしぼり)
出典:http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/mg-files/flowercolor/flower-pattern.html
白地の花に一筋の色線が入るものをいいます。
刷毛目絞(はけめしぼり)
出典:http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/mg-files/flowercolor/flower-pattern.html
暗色系の色地の花に、白や明色の色線が入るものを言います。
吹掛絞(ふきかけしぼり)
出典:http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/mg-files/flowercolor/flower-pattern.html
白地の花に斑点が一面に入るものをいいます。
変化アサガオは花だけでなく葉のかたちにも様々な変化があり、葉の縁が裏返る「かかえ」、長細い葉の「柳」、糸の様な「糸柳」、龍の爪の様な形をした「にぎり爪龍」など様々です。
そして面白いのが、変化朝顔のやたらと長い名前です。
これらの花芸・葉芸の組み合わせで名付けられるため、名称がかなり長くなります。
出典:https://matome.naver.jp/odai/2137266671498903001
例えばこの花は「青握爪龍葉紅紫覆輪風鈴獅子咲牡丹」
出典:https://matome.naver.jp/odai/2137266671498903001
この花は「青林風鍬形爪竜葉白総管弁流星獅子咲牡丹」
というように、簡単には覚えきれないほど長いのです。
変化アサガオは姿かたちから名前まで、通常のアサガオからは想像もつかない不思議な魅力をもった植物だということが、おわかりいただけたでしょうか。
以上、変化アサガオを紹介してきました。
夏になると変化アサガオ展をやっている地域も多いと思いますので、興味があればぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
記事・・・飛田亮