近江庭園のお庭トーク | お庭のプロが厳選するお庭づくり・盆栽づくりのための季節の花だより

軽トラガーデンをつくりました!

作成者: 亮飛田|2017年11月4日

先日、軽トラガーデンを作ったのでその模様を記事にしていきます。

軽トラガーデンって?

ずばり!軽トラックの荷台につくった庭のことです。

ショーガーデンの一様式で、施工・撤収も簡単にできることから便利。

ただし軽トラの積載量がある為あまり大掛かりなことはできません。

気軽に庭をつくり楽しむのに適しています。

つくってみた

軽トラガーデンを作るのは今回初。

今回の軽トラガーデンショーには滋賀県内の8社の造園会社が参加します。

開催地は大きな公園で、遊具のある広場の目の前で行われるため多くの子どもたちをはじめ家族連れのお客さんが訪れます。

特にテーマなどはないため、以上のことを踏まえたうえでレッツデザイン!

とりあえず簡単なデザインを描いてみました。

ちなみにデザインから施工まで全て一人で行います。庭師3年目の今の自分の力でどんなものがつくれるか、力試しでもありました。

テーマは日本神話の「ヤマタノオロチ伝説」。

自分が庭師になった理由である「自然」と「日本文化」の素晴らしさを伝えたいということ。

それを子どもたちに伝えるにあたって、日本文化の血が通ったアクティブなストーリーとしてヤマタノオロチ伝説が思い浮かびました。

瓦のオブジェの試し置き。

これはヤマタノオロチの頭上にかかっていたという雲を表現しています。

オロチを退治した天叢雲剣や舞台の出雲など、わりと「雲」がキーワードなのでどうしても取り入れたい要素です。

また、弊社近江庭園がよく施工するシンボル的な要素でもあります。

さて、軽トラの背面を隠す2枚の「ふすま風目隠し」をつくっていきます。

日本昔話的なイメージで、ふすまの向こうからオロチが鎌首をもたげている様子を表現しようと思いました。

カネライトフォームに瓦を薄く切って張りつけ、模様をつくります。

土壁風に塗るのに、セメントだと運搬時に割れてしまう恐れがあるのでボンドに砂を張りつけるという斬新な手法を用いました。笑

この模様も雲海をイメージ。砂を張らないところには苔を張ります。

もう一枚は遊び心で木の枝?のような模様に。

左右対称で雲海デザインにする予定でしたが、せっかくなので遊んでみました。

コケを張ると木っぽく見えてきた気がします。

コケがかなりの水分を含んでいたためべちょべちょになり、この後塗りなおす羽目に。笑

本番ではなるべく乾燥させたコケを使うようにします。

お次はこの庭のメイン、ヤマタノオロチに見立てた蛇籠をつくっていきます。

山で竹を採ってきて、割って、剥いで、編む。

蛇籠は少なくとも6~7本はつくりたい所なので、かなりの労力が必要です。

2m程の蛇籠を編むのに5mのヒゴが8~9本程必要です。

ヒゴ1本作るのに20~30分程かかるので毎晩遅くまでかかりました。

結局できたのは長い蛇籠3本と短い蛇籠4本。

曲がっているのは蛇をイメージしているからです。

本当はもっとぐにゃぐにゃにしたかったのですが、中々曲がりませんでした。

 

軽トラガーデンショー前日。

石組みと砂利で流れをつくります。

川の流れが徐々に緩やかになる様を石の表情で表現しました。

植栽と蛇籠を設置するとこんな感じの雰囲気に。

コムラサキとススキが良い味を出してくれています。

花はダイモンジソウ、リンドウ、キクやナデシコを使っています。

あとは当日、苔と瓦を配して完成です。

当日の朝、なんと台風の影響で雨模様。

しかし小雨なので雨天決行です。

ふすま風目隠しも苔を張るといい感じに仕上がりました!

完成!

伝統美がありつつダイナミック。山野草たちやコケの美しさを楽しめる作品に仕上がりました。

雨でふすまがべちょべちょにならないか心配でしたがなんとか乗り切りました。

もっと蛇籠をつくって暴れさせたかったなどいろいろ反省点は残りますが、初めてにしてはなかなか良くできたのではないでしょうか。

最初から最後まで一人でつくりきったので、庭師としての自信がついたのがなによりの収穫です。

以下、一緒に出展した皆さんの作品も紹介していきます。

こちらは家族で楽しめる芝を張った開放感のあるお庭でした。

小物づかいとても上手でおしゃれ。これからの時代の庭という感じです。

こちらは複雑な竹垣で囲まれた庭。

中には風流な仕掛けがあり、思わずはっとさせられました。

伝統美と遊び心が同居する粋な庭でした。

こちらは現代的なシンプルな庭でした。

和の素材を使わず和を表現するという面白いテーマでつくられています。

ティーカップに入ったパキラの盆栽が可愛かったです。

この庭が今回最も面白く、荷台には得体の知れない黒いBOXが。

小さな穴から中を覗くと小さな庭が広がる面白い仕掛けです。

茶室の躙り口を想起させる斬新な発想に感服しました。

こちらはさっぱりとした雰囲気が心地いいお庭です。

シンプルながら細かい気配りが垣間見え、現代の需要にあった庭だと思いました。

こちらは今回最も季節感のある楽しいハロウィンの庭です。

土場にあったあり合わせの材料でこの完成度はすごいと思います。

個人的にレンガの苔の張り方が好きです。

最後はシマシマ模様の美しい網代垣が目を惹くお庭です。

水が流れているのでししおどしの音が鳴り響き、最も子供たちの関心をひく人気の庭でした。

 

以上、軽トラガーデンのレポートでした。

今回の経験で得たもの、学んだことはたくさん。

これからもこういった機会にどしどし挑戦して成長していきたいと思います。

 

記事・・・飛田亮