近江庭園のお庭トーク | お庭づくりに技術と情熱を込める庭職人のストーリー

クリムト展・あいちトリエンナーレ

作成者: 松本 友香里|2019年10月6日

こんにちは。

なんと季節は明日からもう晩秋…、関西ではまだ暑い日があり晩秋と呼ぶには少々そぐわないような気候です。

ですが、植物たちはすっかり秋の装いで、事務所裏の山野草コーナーには秋の草花たちが咲いています。早いものでもみじは既に色が緑から橙へと変化しているものも現れました。こうして何度季節が巡ってきても同じ季節はないですね。今年もどんな紅葉が見られるのか楽しみです。

 

クリムト展・愛知トリエンナーレ

以前お盆に帰省した際に行った展覧会についてブログで書かせていただいたのですが、今回も行ってきた展覧会についてご紹介させてください。

まずはこちらのクリムト展。日本でも人気が根強いグスタフ・クリムトの没後100年を記念した過去最大級の展覧会です。東京都美術館の時に行けなかったので愛知で巡回展をするということで行ってきました。

見渡す限り人ばかりでゆっくり作品を鑑賞するという雰囲気ではなかったのですが、ずっと見たかった「女の三世代」や「ベートーヴェンフリーズ」など、息を飲むような大作が鑑賞できて大変満足でした。金箔を使った豪奢な色使いから時代の新しい風を思い描かれた筆致は2019年の現在に見ても常に斬新で新しく感じられました。

1900年のウィーン万博以降起こったジャポニスムの影響も見られるクリムトの作品。構図や間の取り方はどこか、日本の浮世絵やまたは茶道、華道といった道に通ずるものがあるように思いました。黒い画面の中にアクセントのように浮かぶ女性の顔、画面の余白など、日本人の間の文化が垣間みえてとても興味深いものでした。

一方こちらは現在何かと話題のあいちトリエンナーレ豊田会場の展示です。

クリムト展で鑑賞した絵画やポスターとは異なり、こちらはインスタレーションや写真が多く鑑賞できました。「情の時代」というトリエンナーレのタイトルは何か色んな意味を深読みできるタイトルだなと感じます。

社会への問題提起、私たちの内面の問題や死生観など、現代に生きる私たちの情や情報、そういったもののあり方を考えようと促す作品だったと感じます。

名古屋会場の方には行けず残念でしたが、今回鑑賞した作品たちを一度しっかりと自分の中に持ち帰って消化していこうと思います。このトリエンナーレが話題になった背景なども自分の中で咀嚼して美術や芸術のもたらすものとは何か考えて行けたらと思います。

 

お庭と芸術

日本庭園一つの芸術とも言えますし、一つの思想とも言えるかもしれません。

かつて寺社に作られたお庭は宗教思想が色濃く、その世界観を表現するために存在しました。また、美しい景石や流れを使い一つの美しい空間を求め作ったのも日本庭園です。

作庭する時には、まずお客様の思いを聞きそして建築に調和する美しさを添え形にしていきます。私たちの仕事は芸術家の仕事ではありませんが、全てが違うということでもなく、どこかで通じるものがあると思います。

今回の展覧会を見てお客様の思いに寄り添う美しい空間を提供できる職人でいたいと心新たに感じました。