近江庭園のお庭トーク | お庭づくりに技術と情熱を込める庭職人のストーリー

常緑樹の森

作成者: 松本 友香里|2021年9月26日

こんにちは。

萩の花が零れそうなほど咲いています。咲いている時は綺麗なのですが、種が服にくっつき取りにくかったり、気が付かない内にどんどん繁殖していたりと、その旺盛な生命力にびっくりします。(写真は萩のはなではありません) 春につくるお餅は「牡丹餅(ぼたもち)」秋につくると「お萩」。萩が秋を代表する植物なんだと実感するとともに、お餅の呼び名を季節で変えるような季節感を大切に生活することを忘れないようにしたいですね。

 

常緑樹と光の感覚

こちらはいつも手入れに入らせて頂いている京都のとある施設です。久しぶりに私もお手入れに伺ったのでお庭の様子をお伝えします。ここは鬱蒼とした森の中のような雰囲気があり、常緑樹で覆われた敷地内の庭は常に緑陰があるので夏でも比較的涼しいです。自然石のアプローチや古い大木が敷地内に沢山あり、まるでここが京都市内とは思えない自然のあるお庭です。

こちらは昨年の冬に工事をさせて頂き、水の流れのあるお庭にしました。常緑樹ばかりで陰になる印象のお庭がお水が流れていることによってわずかな日光を反射し、きらきらとしているのがとても美しい光景です。モミジやカキなどの落葉樹も植わっており、冬にはもう少し日差しが差すお庭になるのですが、紅葉の季節を通り過ぎてしまうと本当に森の中のようです。

写真の上の方に少しだけ紅葉している葉っぱが映っているのですが、こちらはハゼノキです。常緑樹の中で一本だけ赤く色づき、もう葉が落ち始めています。このお庭は夏の時期が一番緑が濃く暗いお庭なので、これからこのお庭の鮮やかな季節になっていきます。色づいた葉に透ける陽光や葉の落ちた木々の隙間から差す木漏れ日が綺麗に見えるのがこのお庭で一番綺麗かもしれません。

また紅葉の季節にこのお庭の様子もお伝え出来たらと思います。季節感を大切にする感性を失わずに生活していきましょう。