こんにちは。
蚊取り線香の季節ですね!剪定の現場や少し暗い現場には必ず出現する蚊。この季節の私たちの敵とも言えるでしょう。私は刺されやすく、日に10か所以上腫れることもありました。
この匂いを嗅ぐと、今年も夏が来たなあとしみじみした気持ちにもなりますが、しみじみしてる時間が無いくらい夏は毎年忙しなく過ぎていきます。今年も頑張ってこの夏を乗り越えていきましょう。
ひとつの工事が終わればまた次の工事と次々にお庭をつくっている私たちですが、この季節になってきますとお庭の剪定のご依頼もぐっと増してきます。草木が春から夏にかけて一気に成長しお庭の中で茂り始めますので、緑が鬱蒼としてきたな、と思われる時期ではないかと思います。
少し枝を抜いてあげるだけでもだいぶ明るさが変わりますよね。モミジの持つふんわりとした枝ぶりもよくわかるようになりました。
近江庭園の目指す剪定は、自然の美しさを保った剪定です。いかにも人の手が入っているような枝の切り方をするのではなく、いかに鋏を入れる数を少なくして美しく見せられるかというところがポイントです。切断面が見えにくいような葉の位置で切ったり、互生(葉や枝が交互につくこと)の植物はそのようになるように切ったりと、剪定という作業ひとつに数えきれない細かな技術があります。
さっぱりとしたお庭は見ているととても気持ちが良いですよね。この時期の剪定の仕事はすがすがしい気持ちになるような日が多くて自分自身がとてもすっきりとします。
またこの時期になると職人たちは朝自分の鋏を研ぐ姿を目にします。鋏の切れ味で作業効率や剪定の見た目にも大きく影響するからです。綺麗に研がれた鋏を使ってすっきりとした気持ちで仕事に臨みたいですよね。何より自分の道具で技術の研鑽をしていくことが大切です。
私たちの仕事は、変わらない普遍的な良い技術を求める側面と時代のニーズに合わせた流行の技術を追うことの二面性があると思います。それはお庭づくりの技術にも剪定の技術にも言えることです。植物や石などは自然のものですのでそれ自体も経年変化します。今積んでいる石はやがて苔生し、私たちが手を入れている木々は古木になっていくでしょう。そんな中で、私たちは伝統の技術を現在に落とし込んで新しい価値をお客様に提供していかなければなりません。そのために私たちは日々コツコツと時代の流れの中で仕事に向き合っていかなければならないのですね。
私の好きな言葉の中にこのようなものがあります。「伝統は、生きて流れているもので、永遠に変わらない本質を持ちながら、一瞬もとどまることのないのが本来の姿である」
上記の言葉は日本工芸会の文言ですが、これらは工芸だけではなく日本の庭園文化にも通じる言葉だと考えます。私たちがさまざまな現場から得る技術は先人たちから生きて流れついたものです。私たち職人がその流れをせき止めることなく、お庭という伝統技術をこれからも学んでいけたらそれほど素晴らしいことはないと感じます。
大変なことも多い仕事ですが、日々の仕事でどれだけの良さを見出していけるのか、そんなことも考えながらこれからも仕事をしていけたら良いと感じます。