近江庭園のお庭トーク | お庭づくりに技術と情熱を込める庭職人のストーリー

景石を配す

作成者: 松本 友香里|2021年5月20日

こんにちは。

今年は平年より20日ほど早い梅雨入りで驚いている次第です。季節が通り過ぎるのがあまりに早く、私たちのような外で植物と触れる仕事をしている人たちは、この先このような気候が続いたら四季や植物はどうなってしまうのだろうと思う方もいるのではないでしょうか。

雨で大変な毎日ですが、梅雨が訪れることに感謝しつつ、風邪をひかないよう作業していきます。

 

「間」を大切に

先日お伝えしたこちらのお庭の工事が少しずつですが進んでおります。

主庭には景石が入り、仮組がなされています。お施主様のご意向を汲みつつ、植栽と景石、地形のバランスを見ながら石を配石していきます。

空間把握の能力やバランス感覚など、一言で「センス」と表してしまうには足りないほど石組には沢山の能力が必要です。石の扱い方や据え方などの技術的な部分もさることながら、美的感覚が一番必要な作業ではないかと個人的には思います。

石積みや竹垣などとは違い、【間】【空間】といった部分も大切になってきますので、塩梅がわかっていないと、バランスがおかしかったり、石の向きや顔が反対を向いていたりしてしまいますので非常に繊細な作業です。

大きな石を動かして、大胆な作業にも思えますが、その実、石組というのはほんの少しの差異で見え方が異なってくるきめ細かな作業です。一つ一つの石が主役にもなり空間を調和する脇役にもなり、奥が深い工種だと思います。

こちらのお庭も石が入ってきて、一体どのように変化していくのでしょうか。丁寧に仕上げていけるよう、頑張っていきたいですね。