近江庭園のお庭トーク | お庭づくりに技術と情熱を込める庭職人のストーリー

自然な緑の深み

作成者: 松本 友香里|2019年7月4日

こんにちは。

強い雨降りが続きましたね。今の季節は「半夏生(はんげしょうず)」という季節になり、その時期に降る雨は「半夏雨(はんげう)」と呼ばれ、大雨になると言われています。梅雨が終わりに差し掛かりますと「送り梅雨」といって豪雨に見舞われやすくなりますので皆様ご注意くださいませ。

梅雨の合間の日の光を大切にしたいですね。

半夏生は、個人的に結構好きな植物なので、この時期見かけると嬉しくなりますが。

 

苔の緑

私たちのお庭造りに欠かせないのが、苔の緑だと思います。勿論樹木や草木の緑も大切なのですが、苔の緑というのは、お庭の深まりや時間の流れを表現していくのにとても重要な要素だと感じています。

先日、私は休日を頂き、関東の友人と京都の寺院を訪れました。

そこで出会ったのは、苔の緑、緑、緑。

訪れたお庭には自生している苔がみっちりと生えていました。一体どのくらいの歳月をかけてこの空間を造り上げていったのか、そんなことを考えると、お庭というのは「時間を楽しむ」という楽しみ方もできるのだなと感じます。

やはり、苔生したお庭というのはそれだけの時の流れと重みを持っていますしね。

時間の経過を楽しめるのは心に深みがあるということですし、そういう時間の過ごし方やこころの余裕をお庭で与えられると思うと庭造りをする甲斐がありますよね。

 

弊社の造るお庭にも、過去、苔を使ったお庭というのは何度も登場しています。

苔を張ったばかりのお庭はまだなんだか真新しく、綺麗ではあるのですが、時間の深まりが浅く思えます。なので、私は自分たちが造ったお庭が今後どのように深みを持ち変化していくのかということが楽しみで仕方ありません。その土地に馴染みどんどん自然な緑になっていく苔たち、その過程も楽しんで頂けたらと思います。

苔を張るとその空間全体の空気まで緑の世界に染めてしまうようなパワーがあります。そんなパワーを持つ苔が、いずれお庭に根付き、自然に任せて生きていけるようなお庭を造ることができたら、私たちの造るお庭も更にパワーのあるものが出来上がっていくと思うのです。

こちらのパレットの苔は、現在弊社で今か今かと出番を待ち侘びている苔たちです。苔にも様々な種類があり、その全てが表情が違うものですので使用する苔が違うとお庭全体の雰囲気を左右してしまうほどやはりパワーを持っています。苔の世界も奥が深い…!

こちらの苔が早く活躍できることを願いつつ、私たちは自然の緑で皆様の心にも深まりを与えられるお庭造りを目指します。

いつか弊社の造ったお庭が京都や各地の名庭と並ぶ苔庭になることを夢見て…