近江庭園のお庭トーク | お庭づくりに技術と情熱を込める庭職人のストーリー

近江のとんぼ

作成者: 松本 友香里|2021年4月22日

こんにちは。

緑がまぶしい毎日ですね。季節が過ぎて夏に向かっていくにつれて世界の彩度が一層上がっていくような気がします。若葉の緑ほど鮮やかで瑞々しいものはないかもしれないと春には毎回思いますが、この季節に限らず、日常が鮮やかに感じられるよう常にさまざまな物事にアンテナを張っていきたいなと思います。

 

三和土に舞うとんぼの意匠

近江庭園のお庭づくりの中では、軒下に施す犬走りの施工を三和土仕上げや真砂土舗装で仕上げることが多いです。土間コンクリートではなく、これらの仕上げは自然の土の質感が見えることと、昔ながらの味わいが出ることで好まれる方が沢山いらっしゃいます。

その施工の際に、私たちは小さな那智黒石や軒丸瓦などを意匠として仕込みます。私たちの小さな遊び心です。今回施工している京都のお庭の犬走りにも那智黒石のとんぼが舞っています。

今は三和土を仕上げたてなので土色が濃くでていますが、しばらくして乾いてくると落ち着きのある風合いになってきます。

雨や夜露のかからない軒下はどうしても植物を育てるには適さず、家の構造的にも犬走りとしてコンクリートを打ってしまう方が多いとは思いますが、このように植物がなくても美しく面白味のある仕上がりにすることができます。エイジングされていくと苔生していく部分や欠けていく部分も出てくるかもしれませんが、時間と共に変化し味わいが深まっていくのを感じられるのは素敵なことです。

過去に近江庭園が施工したとんぼたちと近江庭園のお庭の瓦を使った犬走りの写真です。石の形や施工した職人によってとんぼやお花にも違った表情があるのがまた面白いですね。経年変化することで渋い仕上りになってくるのがよくわかります。

近江のとんぼがお客様のお庭に飛んでいけるように、これからもさまざまなお庭との出会いを大切に、お庭づくりに真摯に向き合っていきたいと思います。