近江庭園のお庭トーク | お庭づくりに技術と情熱を込める庭職人のストーリー

長い冬への準備

作成者: 松本 友香里|2019年12月12日

こんにちは。

花の季節が終わっていき、とうとう静かな冬の季節がやってきました。春の暖かさに思いを馳せながら過ごす冬ですが、この冬の厳しさがあるからこそ春に美しい花を咲かせる植物をより一層楽しむことができます。

お施主さんに頼まれ、お花を根こそぎ切ってしまいましたが、また来年芽吹いてくれることを願って、お手入れをしている毎日です。

 

雪降る季節のお庭の身支度

お手入れの毎日ですが、今回私はいつもお世話になっている方の応援で雪吊り作業に行ってきました。

近江庭園のある大津市よりはるか北のほう、雪の季節は少々大変な地域です。

柱に放射状に縄を取り付けていきます。先端が綺麗に収まるように縄の並びを調整しながら縄で締めていきます。縄が絡まっていると、後から枝に結びつける際にとても面倒ですし、見栄えが悪いのでここで柱を綺麗に作れると後の作業もスムーズですし、仕上がりが良くなります。

柱をきちんと垂直に立てて、縄を四方に広げていきます。この時、均一な間隔になるように縄を広げていくのがポイントです。ここで美しい放射状の形を作ると冬の景観として、とても良くなります。

雪吊りと言えば、石川県金沢市にある兼六園が有名ですよね。私も冬の金沢には一度行ったことがあり、兼六園の雪吊りの美しさに感動した思い出があります。お庭が鮮やかでない時期でも、こうした職人の技で違う姿を見させてくれるお庭はとても面白いですよね。

これで雪が降っても枝が折れる心配はないでしょう。おまけに雪吊りの風景を冬の間楽しんでいただけます。

私は今年で雪吊りの作業をするのが二回目でしたが、昨年の要領を少し覚えていたので、初めて来た時に比べれば応援としてお役に立てたかなと思います。中々大津市のお庭では雪吊りなどはしませんので、貴重な経験です。

雪は積もっても溶けたら消えてしまいますが、積もった技術は私が覚えている限り消えることはありませんので、常に意欲を持って技術や経験を積み重ねて行かなければならないなと感じています。

今回も良い仕事が出来ました!兼六園より規模は小さいですが、綺麗に仕上がりました。お施主様が冬の間もお庭を楽しんで頂けたらなによりです。