近江庭園のお庭トーク | お庭づくりに技術と情熱を込める庭職人のストーリー

門を構える

作成者: 松本 友香里|2019年9月26日

こんにちは。

リンドウの蕾がふっくらと膨らみ、今にも咲きそうに出番を待ちわびています。夏の草花とは違い、秋の草花は草姿や花色も落ち着き、静かな季節へ向けて自らで雰囲気を演出しているように思います。

そろそろ金木犀の香りが漂ってくる頃になりますね、それもまた秋の楽しみの一つです。

 

門を構えるということ

進捗を報告しているこちらのお庭、前回の作業では門の部分に庵治石を据え付けましたが、今回の作業では肝心要の数奇屋門を組み立てていきます。

数寄とは、茶の湯や生け花、和歌といった風流を好むことを指し、数奇屋造りとは書院造を基本として、それらを楽しむために洗練された茶室の様式を取り入れた造りの建築を指します。この形の門が数奇屋門と呼ばれたのは1973年からと言われます。→

数寄の意匠を汲んだ門ということですね。

こちらの職人さんたちは近江庭園がいつもお世話になっている腕利きの大工さんたちです。今回もとても立派な門を製作して頂きました。

まだ周囲の壁がブロックむき出しですので、完成図が想像しづらいかもしれませんが、こちらの壁も左官屋さんにお願いしてかっこよく仕上げてもらう予定ですので、完成が待ち遠しいですね。

こちらの門を据え始める前には、柱の束石となる部分に難しい加工を施したり、ミリ単位での据付の調整が必要だったりと紆余曲折もあり、沢山細かい作業がありました。近江庭園の職人たちの腕の見せ所だったわけです。

順調に門の据付が進んでいきます。

大工さんたちの領域のため私たちは作業を眺めていることしかできないのですが、どんどん出来上がっていくのでこちらもワクワクしながら別の作業をしています。

 

門を構えるということは、その家の顔を表すことだと思っています。門構えがイマイチですと、中の建築やお庭が素晴らしくても惜しい出来になってしまいますよね。やはり門構えが立派ですとしっかりとした印象を与え、中に続くお庭もひときわ一つのお庭の世界観を感じることができます。

外と家をしっかり区切ることで、外から入ってきたときによりお庭が広がりを持って見えると思います。表情のある家先にすることによって、その先に続くお庭や建築がより映えるという訳です。

その点ではやはり門を構えるということは、家の顔を表すことだなと感じます。

さて、立派な顔が出来てきたところで、中のお庭もさらにしっかりとしたものを造らねばなりませんね。

より気合が入っていく現場です!