こんにちは。
弊社倉庫脇に、小さくてあまり目立ちませんが、ナルコユリの蕾が沢山ついていました。鮮やかな花に目が引かれがちかとは思いますが、こうして足元を見てみると実に多様な植物たちがあるものです。このナルコユリも華美な植物では無いのですが葉っぱの斑入り模様や花柄の赤み、釣鐘状の花の可憐さはこの植物だけの愛らしさとも言えますね。
立夏が過ぎ、季節は既に夏に向けて駆け足ですが、身の回りの自然を眺める余裕を忘れずに日々を過ごしていきたいものです。
さて先週の私たちは、ゴールデンウィーク明けの久々のお庭造りということで、休暇前に入らせて頂いていた現場に入っていました。少し前のブログで紹介しましたこちらの現場です。
今回行かせて頂いた時には、既に内装も出来つつありお庭も含め完成が待ち遠しい現場でもあります。
以前に訪れた時には年季の入った杉皮塀が施されていたのですが、今回は竹垣が施されました。以前の印象とは違い、竹の真っ直ぐさは和の建築にぴったりと調和しますよね。小さな空間ですが、店内の窓から見えるこのお庭があることによって建築の奥行きがどんどん広がっていくような感じがしますよね。
玄関前のこの大きな水鉢も、綺麗に収まって良かったです。
どうやらこちらはお団子屋さんになるそうなのですが、なにせこちらは京都東山に位置しております、ロケーションがとても良いです。いずれは観光客の方に人気のスポットになるのでは無いかと思っております。
京都という土地柄、京都でお庭造りをさせて頂く際は、やはり「京都らしさ・日本らしさ」を求められることが多く、その度に「らしさ」とは何だろうかと私は考えさせられることがあります。京都の、しかも商業建築となりましたらまさしくそれは顕著で、周りの景観を害さないようにだとか環境への調和を考えると、どうしてもその「らしさ」 が形骸化されているように感じることがあります。
「日本らしさ」を持つお庭というのは一体何なのだろうかと思うことがあるのです。竹垣や石組みが施されていればそれは日本らしいお庭なのでしょうか?その「らしさ」というものはきっと素材によるものと考える人もいれば、昔からの技術を使用したお庭造りだと思う人も居て、その感じ方は千差万別なのだろうと思います。そういったことも踏まえて、伝統の技を守るということはただ昔の技術を踏襲していれば良いだけの話では無いのですね。
こういった自問自答では答えが出ないことが殆どですし私はただ一介の庭師に過ぎません。ですが、考えながら造るということに意味があると思うので、私は考える葦ならぬ考える庭師で居たいと思うばかりなのです。
お庭というのは本当に奥が深いです…!