近江庭園のお庭トーク | お庭づくりに技術と情熱を込める庭職人のストーリー

元の形をさらに美しく

作成者: 松本 友香里|2020年3月8日

こんにちは。

お庭の山茱萸(サンシュユ)がついに綻び始めました。寒い冬がやっと明け、寒さに耐えたあとに春らしい黄色の小花を咲かせます。そんなサンシュユの花言葉の一つに「耐久」という言葉があります。まさに寒い冬に耐え春を待つサンシュユの花を表しているようですね。

 

歴史と新しさを共存

神戸市北野町の洋館のお庭を3月の初めから改修工事しています。神戸市北野町といえば、明治時代に外国人居留地として使用されていた洋館の多くが保存されている歴史的に大切な地域です。

その一角にある洋館がこの春から、レストラン・結婚式場として生まれ変わるので、それに伴いお庭の改修、整備を行なっているのです。

私は去年の6月に初めてお打ち合わせでここを訪れました。その頃はハーブがお庭一面を覆い、緑の生い茂った空間でした。五感で楽しめるハーブという植物はやはり特別で、こちらのオーナー様もハーブが大好きだということでした。

それから一年近くが経過し満を持して3月からお庭の工事が始まりました。

今はほとんどのハーブが冬枯れ、球根類の花がチラチラと咲くのみ。ですが、こちらの工事が完了する頃には辺り一面がハーブや季節の草花に囲まれた空間に生まれ変わっているでしょう。

高低差があるので地形を少し整える必要がありますし、既存の石積みも積み直さなくてはなりません。やることが盛りだくさんです。

既存の石を使用し、以前のイメージを踏襲しながらより堅固な積み方で石を積み替えていきます。オーナー様やお施主様が大切にされている北野の歴史、建築の雰囲気を尊重し、お庭と建築が調和する空間を目指して作業をしています。

まだまだ作業は始まったばかりです。一つ一つを確実にこなし、良い空間づくりを心がけていけたらと思います。かく言う私は、改修後に植えていく新たなハーブの植栽を考えています。普段私たちがよく植栽で使用する山野草や下草とは異なり、ハーブは全く違う特性があります。本を広げて勉強しながら取り組んでいます。

北野のうららかな気候の中でそよぐハーブたちが見たいですね。綺麗なお庭と春の北野、皆様に完成をお見せできる日が楽しみです!