2019/11/06

亥(い)と火の用心。

11月に入り、朝夕は随分と寒くなってきました。ついこの前まで暑い暑いといっていたのに、暦の上では秋は今日までで、明日から冬です。

立冬 りっとう

樹の葉を枯らす北風が冬の到来を知らせてくれます。

寒さが厳しくなる前に こたつ の支度をする人も出てきます。

 

初候:山茶始開 つばきはじめてひらく 11月7日〜11日頃

次候:地始凍 ちはじめてこおる 11月12日〜16日頃

末候:金盞香 きんせんかさく 11月17日〜21日頃

 

かつて江戸時代には「こたつ開きの日」といって、武士は旧暦10月の最初の亥(い)の日に、庶民は2回目の亥(い)の日にこたつを出す風習がありました。ちなみに現在の暦でいう11月中旬頃です。

この亥(い)は五行思想で水を司るため、このような日にこたつを出せば火事にならないと考えられていました。

電気のない江戸時代のこたつってどんなのだろうとふと思ったのですが、この時代にも掘りごたつと置きごたつと、生活様式によって形態はさまざまだったのですね。

https://edo-g.com/blog/2016/02/heater.html/2

 

炉開き

亥(い)に関係する話をもう一つ。

11月に入り、茶道においても風炉(ふろ)から炉(ろ)に変わります。

これを炉開きと言います。先日の松本も記事の中でご紹介をしておりました。

もちろん使う道具がかわるのですが、作法も変わります。1年前にやっていたことを思い出しながら、先日も稽古に出席をしていました。

その際に出ていた主菓子(おもがし)が亥の子餅。

亥の子餅 茶道 炉開き

炉開きの際も、炉を切り、その中で炭をくべ、火を起こすため、この時に火の周りの安全を願って、亥の子供の形をしたお菓子を使用します。

この亥の子餅は、特に決まった形があるわけではないと聞いていたので、早速Googleにて調べると、確かに形は様々でした。

亥の子餅 茶道 炉開き

 

茶道のお稽古の中で、お茶を点てる作法を習得することはもちろん大事なのですが、今回のように日本の昔から伝わっていること、そしてなぜそのようになったのか、物事の本質に近い部分に触れることができることが茶道を習っていて改めてよかったなと感じた瞬間でした。

 

これから本格的に寒くなっていきますので、体調崩されませんようにお気をつけください。

 

投稿者: 寺下 真司

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