2015/05/29

国際交流を機に、ちょっと真面目に日本について考える

こんばんは!

実は先週から、近江庭園に新しい仲間が増えました。

遠いフランスから研修にやってきたフローさんです。

彼女は大学でランドスケープについて学んでおり、日本の庭や文化にとても興味があるようです。

庭や日々の生活をとおして日本の面白さを伝える一方、フランスについて色々教えてもらっています。

海外と自国を比較することは日本文化を客観的に捉えるきっかけとなり、新しい視野が広がる素晴らしいことだと思います。

 

庭において西洋と日本を比較すると、長きに渡る歴史の上で構築されていったその様式に大きな違いがあります。

例えばヴェルサイユ宮殿の庭をはじめ、西洋の代表的な庭はみな整形式です。

樹木は人工的な形に刈り込まれ、左右対称に配植されています。

一方おなじみの日本庭園は全く逆で、樹木や石の気勢を活かした自然風です。

この違いを生んだ源流には、やはり宗教が絡んでいるようです

西洋で生まれたキリスト教では、神が人間を創った後に自然を創ったとされており、自然は人間が管理すべきものという考えがあります。

このことが西洋人の自然観に大きな影響を及ぼし、庭にも反映されていきました。

一方日本では古神道における自然崇拝が美意識の根本にあるといえます。

森羅万象に神が宿るという考えと、やがて仏教が日本に伝播し「本地垂迹説」をはじめ神仏習合思想も広まっていきます。

自然そのものが神なので整形にすることなど畏れ多く、ありのままの姿を活かす庭がつくられていった訳です。

どちらが好きかは人それぞれでまた別の話ですがフローさんは日本の庭のほうが好きなようでとてもうれしく思いました。

 

庭だけに留まらず、身近なものだと音楽や映画などの娯楽でも、他国と比較することで日本文化への理解が深まっていきます。

するとどんどん日本が好きになっていくのですが、ある一種のギャップに悩まされるかもしれません。

それはずばりいうと開国以来日本が変わりすぎてしまったことに起因します。

実は私が今その状態なのですが、庭づくりにおいても現代の良いところと古き日本の良いところのバランスをうまくとるのはなかなか難しいものだと思います。

そんなことに悩まされつつ、これからも客観的に視野を広げたり、ときには主観でのめり込んだりしながら現代日本の在るべき姿について模索していきたいです。

それではまた来週!

投稿者: 飛田

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