近江庭園のお庭トーク | お庭づくりに技術と情熱を込める庭職人のストーリー

園路づくり

作成者: 松本 友香里|2019年9月5日

こんにちは。

現在は仲秋。月が最も美しく夜空に現れる時期です。「月見月(つきみづき)、草津月(くさつづき)、壮月(そうげつ)」などの異称があります。暑さで元気のなかった草たちが再び元気になっていく頃です。

暑さで草臥れてしまった植物たちもこれから元気になっていくでしょう。そして秋から冬へ、また違う姿を見せてくれるのを楽しみにお庭と暮らしていければ良いですね。

 

着々と進むお庭工事

ロシアから戻ってきた宇都宮も現場に復帰し、パワーアップした近江庭園の職人たちです。

帰国してすぐこちらの施工が再開され、現在職人総出で取り組んでおります。

帰国してすぐの宇都宮も早速仕事に奮闘しております。経験を積んで一回り大きくなった彼女に頼もしさしかないですね。今回は前回高さを整えた地盤に園路となる飛び石を据え付けていく作業です。

大きな石で園路の中心となる部分を決め、その基本の石に合わせてデザインとアウトラインを決めていきます。石を綺麗に配置したらお庭の流れがほんの少しだけ見えてきたような気がしませんか?既存のデッキ付近は高低差をつけ、お庭がより動きのある空間に見えるよう工夫されています。立派な切石が格好良いですね。自然なままの飛び石と大きな切石で園路の強弱がついて単調なものにならないようになっています。

小さな石も入れて、園路の全体像が見えてきましたね。元からある景石も合わせて、硬質な重厚感のあるお庭になりそうな予感がします!

私の恩師である先生から言われた言葉の中で、「寺下流の硬質な造園から柔らかな造園へ。柔から硬は入りづらいから、いま自分が良い流れにいることを忘れずにね」と言って頂けたことがありました。

近江庭園の得意とする石使いは石の荒々しさや険しさ、石の表情を楽しむ造園です。今の写真の状態では石が全面に現れていますが、やはり私が大切だと思うのは植物の優しさや柔らかさと言った部分です。このお庭に植栽が入ったときにはどうなっていくのかな、と今から楽しみでなりません。

会長は石使いは勿論のこと植物の魅せ方にも長けています。そういうところもどんどん吸収していかなければなりませんね。近江庭園のお庭のように、柔らかさと硬さの調和を大切に。

これからまだまだお庭造りは進んでいきますが、柔らかさと硬さのどちらも表現できる職人になれるよう、今の流れにただ流されるだけでなく自分から進んで考えて作業していこうと思います。