こんにちは。
春に向けて、植物たちも蕾を綻ばせはじめています。近江庭園の山野草たちも続々花を咲かせる姿を見せてくれます。
春を表す言葉の中に、「光の春」「気温の春」「音の春」などの言葉があります。日差しが伸び柔らかな光へと変化していく様子や、雪解けの川の音、小鳥のさえずり、いろんな春が溢れてきます。私は冬が好きですが、このように綺麗な言葉を聞いてしまうと春も待ち遠しいような気がします。
豊かな一年を祈って -初午大根焚き-
先日、私は大原三千院で毎年行われている初午大根焚きに行ってきました。
初午とは、立春を過ぎて初めての午(うま)の日のことです。
初午祭とは、古くからある農耕儀礼であり、五穀豊穣の神である稲荷明神が神馬に乗って君臨した故事にちなんで、神事や法要が行われます。その日には稲荷明神の使いであったキツネの好物にちなんで、いなり寿司を食べるのが良いとされています。
三千院では大原で作られた有機栽大根をお祓い祈念し、参拝された方に振舞ってくださいます。
三千院に来るのは一昨年の初午大根焚き以来です。去年は来ることができなかったのですが、三千院は変わらず苔の美しいお庭が広がっていました。
この可愛らしいお地蔵様に会うのも2回目です。今年もお邪魔します、と挨拶をし、お参りをした後大根焚きへと向かいまいした。
金色不動堂の前で行われていた大根焚きには多くの参拝の方がいらっしゃいました。寒い季節にぴったりの温かい大根はとても身に沁みる美味しさです。
今年一年の五穀豊穣や安全祈願、開運招福をささやかながら願って美味しく頂きました。私自身にも実りが多い一年になるようお願いし、今年も充実したお庭仕事ができるように精一杯頑張って行けたら良いなと思います。
お庭もしっかりと堪能してきました。流れの中に蕗の薹を発見し、春だなあ、と思い、雪が残っているお庭を見ると、まだまだ冬だな、と思います。季節が変わる直中にいるのを感じると、季節を楽しめる感覚が備わっているのがとても嬉しく感じます。
寺社のお庭は私がお庭に関わる仕事に興味を持つことになったきっかけでもあります。原点回帰をしたようにお庭を眺め歩きましたが、やはり人の思想や宗教観をお庭を通して垣間見るというのはとても楽しいです。私たちの造るお庭もいわばお客様の思いが介在するお庭になっている訳ですので、もっと自分たちも心を込めて施工していかなければなりませんね。
良い休日となりました。またこれを機にお庭に対する思いを見つめ直して、より良い仕事にしていけるように頑張って行きたいと思います。