こんにちは。
上記の写真は、先日まで京都のとあるギャラリーで行われていた陶器×花の展示の作品の一つです。この日が桃の節句であったこともあり、器の中に花びらが散らしてあります。陶器と花というと、花器としての陶器、そしてその器を彩るお花、として結構関連性があったり親和性があるように感じます。実はこういった類の展示や作品は本当に勉強になることが多く、お庭とは別の視点から学びを得ることが非常に多いです。
ふきのとうのオスとメスが器の中で仲睦まじげに並んでいます。雛飾りを表現しているのだとギャラリーの方に伺いました。
器の硬く重厚な作りが、お花や植物の柔らかさが入ることで中和されて、見事なバランス感覚で成り立っているのだと思います。水の器も、花弁が少し散らされているだけで、うっとりする空間を作りあげています。
「剛柔、硬軟」「間」の使い方がこういう展示では本当に勉強になりますね。
という話に続けて、現在入らせていただいている工事の話に戻ろうかと思うのですが、こちらも硬軟が美しいお庭です。
横に20メートルという長方形のお庭なのですが、壁側に同じく20メートルの石積みと7メートルの光悦寺垣を造っていきます。-
まずは石積み。ここの現場では北側のお庭にも石積みをしておりますが、こっちの石積みはもっと大きく重みが増しています。石の重量が単純に増して大きいというのもあるのですが、横にズラッと石積みが続いていく様子は、会社近くの坂本の石積みのように歴史まで感じさせてくれるようです。
建物の中から覗くと大きな広い窓から全面に石積みが姿を現します。城壁のような堅牢さもありつつ、どこか上品で建物の雰囲気を壊さない仕上がりです。石の表情や大きさで緩急がつき、石という硬質なものですが、建物によく馴染む石積みができました。
それを更に美しく演出するのが今回造る光悦寺垣です。
流線型の形で綺麗なカーブと、組子が綺麗な菱形になっているのが美しく、透かし垣なので背景が透けて見えてくるのがより奥ゆかしさを演出します。
化粧の結びと押さえ縁をする前ですが、これだけでも十分な見応えがあります。穂竹に巻いている割竹は非常に細かく割いているので綺麗なカーブを作り上げることができました。写真だとわかりづらいですが、7メートルもあるので、かなり大きく、石積みと合わさるとこちらのお庭は壮観です。後ろから透ける石積みが良い感じですね。
竹垣のしなやかさと石積みの厳しさがいいバランスに仕上がっています。やはりここで大切なのが、剛柔や硬軟といった、反対の性質なのに見事にマッチするように造っていくというところではないでしょうか。お庭の中では硬さも軟らかさも全ての要素が噛み合って一つの空間を築き上げています。 それぞれの美しさを最大限に引き出すということを考えながら私たちも施工していかなければならないと感じます。
それではこちらの工事もラストスパートです。
最後まで気を引き締めて頑張りたいと思います!