先日、滋賀県の最高峰である伊吹山に登ってきました。
伊吹山は滋賀県と岐阜県の県境に位置し、標高は1377m。
「日本百名山」、「新・花の百名山」にも選定されている人気の山で、薬草の山としても有名です。
280種以上もの薬用植物が自生し、多種多様な高山植物も豊富で「イブキ」の名を冠する植物は20種以上と花の名山ぶりがうかがえます。
特にこの時期は山頂付近の高山植物群が見頃を迎え、大草原に色とりどりの山野草たちが風にたなびく素晴らしい風景が広がります。
山の日も近いということで、今回は伊吹山で出会った山野草たちを皆さんに紹介していこうと思います。
ここは伊吹山九合目。
もちろん一合目から人力で登ることもできますが、伊吹山ドライブウェイを通れば車で九合目まで登ることができます。
ここから山頂までは大きく2つのルートがあり、緩やかな傾斜を登っていく西登山道(所要時間40分程度)と、階段を上っていく最短コースの中央登山道(所要時間20分程度)です。
私は西登山道で登り、中央登山道で下ることにしました。
恐らくこれが一番楽に楽しめるルートです。
山の岩肌にも山野草がちらほらと開花していました。
期待に胸が膨らみます。
西登山道の入り口に生えていたシシウド
- 学名・・・Angelica pubescens
- 属名・・・セリ科シシウド属
- 花色・・・白色
- 花期・・・7〜8月
- タイプ・・・多年草
いきなり出会ったのがこちらのシシウド。
山野草の中ではかなり大きめで、最大2m程に成長します。
山頂付近に所々生えていたものは1〜1.5m程でしたが、かなり存在感がありました。
セリ科らしいレース状に見える花を円形に咲かせます。
日本固有種でもある貴重な山野草です。
登山道はこんな感じです。
足元は岩や砂利で思ったより歩きにくく、途中転んでいる年配の方も見受けられました。
いくら遊びの登山とはいえ、登山靴を履いていったほうがいいです。
ピンクの花のカワラナデシコ
- 学名・・・Dianthus superbus var. longicalycinus
- 属名・・・ナデシコ科ナデシコ属
- 花色・・・ピンク色
- 花期・・・7〜9月
- タイプ・・・多年草
秋の七草のひとつに数えられるカワラナデシコは、昔から親しまれてきた山野草です。
花弁の先端が裂片するのが特徴で、花期が長く初夏から秋まで色鮮やかな花を楽しむことができます。
カワラといえど山の頂きにも咲くんですね。
鮮やかな紫色のクサフジ
- 学名・・・Vicia cracca
- 属名・・・マメ科ソラマメ属
- 花色・・・紫色
- 花期・・・7〜9月
- タイプ・・・つる性多年草
緑の草原に一際目の引く紫の花を咲かせていたのがクサフジ。
花と葉が、同じマメ科のフジと似てることから名付けられました。
小さな花ですが、ビビッドな紫がかなり目立っていました。
長い紫色の花序のクガイソウ
- 学名・・・Veronicastrum japonicum
- 属名・・・オオバコ科クガイソウ属
- 花色・・・紫色
- 花期・・・7〜8月
- タイプ・・・多年草
穂状に長く咲く、紫色のユニークな花はクガイソウです。
丁度見頃で、草原の中にニョキニョキと咲いている様はおもしろく人々の人気者でした。
よく似た種に伊吹山特産のルリトラノオがありますが葉の付き方に大きな違いがあり、クガイソウが輪生するのに対しルリトラノオは十字対生となっています。
背丈のある黄花が目立つメタカラコオ
- 学名・・・Ligularia stenocephala
- 属名・・・キク科メタカラコウ属
- 花色・・・黄色
- 花期・・・7〜8月
- タイプ・・・多年草
草原から一人堂々と顔を出していたメタカラコオ。
1m程の高い背丈と人目を惹く黄色い花でよく目立っていました。
長い花穂は、下から順に咲いていきます。
クサフジと赤い茎が目立つアカソ
- 学名・・・Boehmeria silvestrii
- 属名・・・イラクサ科ヤブマオ属
- 花色・・・白色
- 花期・・・7〜9月
- タイプ・・・多年草
アカソは茎や葉柄が真っ赤な色をしているのが特徴で、伸ばした花茎に白い小さな花を咲かせますが、真っ赤な茎のせいであまり目立ちません。
漢字で赤麻と書き、古くは衣服の繊維に使われていました。
このアカソが、伊吹山頂上でもっと多く見られた気がします。
白花のヤマホタルブクロ(左)とクルマバナ(右)
- 学名・・・Campanula punctata subsp. hondoensis
- 属名・・・キキョウ科ホタルブクロ属
- 花色・・・白色、紅紫色
- 花期・・・6〜7月
- タイプ・・・多年草
ヤマホタルブクロは袋状の花がランプのように俯いて咲くのが特徴です。
普通のホタルブクロとの見分け方は、花期がホタルブクロの方が一か月ほど早いことと、萼の形状に違いがあります。
穂状に咲く白花のイブキトラノオ
- 学名・・・Bistorta major var. japonica
- 属名・・・タデ科イブキトラノオ属
- 花色・・・白色
- 花期・・・7〜9月
- タイプ・・・多年草
伊吹山で初めて発見され、穂状に咲く長い花がまるで虎の尾のように見えることが名前の由来です。
一輪ずつぴょんぴょん咲いているのも可愛らしいですが、群生地では一面が白く染まり迫力があります。
以上で前編は終わりです。
まだまだ紹介しきれないので、また次回に続きを書いていきます。
今が見頃ですので、ぜひ機会があれば伊吹山を訪れてみてください
記事・・・飛田亮