前回は、地割り(平面的な割り付けのデザイン)についてお話ししました。
今回は、地割りが確定した後の作業として植物の計画・配置についてお話しします。
★咲き始めた タマスダレ(玉簾)
・別名・・・ゼフィランサス
・学名・・・Zephyranthes candida
・草丈・・・2m〜3m(写真は70㎝ほど)
・結実・・・5月下旬〜10月
・多年草(球根)
植物の種類
A.大きさ分類
造園における植物は次の5つに分類されます。(形状での分類)
- 高木・・・0m以上の高さの樹木(植物学では5m以上となっていますが造園では3.0mくらい以上の樹木を高木としています。)
例)マツ、カシノキ、モミジ、モミノキ、ウメ、サクラ、ケヤキ、ミモザ、シマトネリコ
- 中木・・・60㎝〜0m未満の高さの樹木
例)ベニカナメモチ、トキワマンサク、マンサク、サザンカ、ツバキ、オリーブ、コニファー、ジューンベリー、ムラサキシキブ、ナンテン
- 低木(灌木)・・・60㎝未満
例)サツキツツジ、ヒラドツツジ、センリョウ、マンリョウ、マホニアコンフーサ、アジサイ、クチナシ
- 草花・・・一年草、二年草、多年草、宿根草 等
例)ムスカリ、スイセン、チューリップ、キキョウ、パンジー、ポーチュラカ、シバザクラ、ペチュニア
- 地被植物・・・芝生、苔 等の地面を一面に覆う植物。ときには、低木や草花の草丈の低い植物を一面に植えることによって地被植物にもなる。
例)芝生、苔、ヤブコウジ、ヒペリカムカリシナム、フッキソウ、ヘデラ、タマリュウ、ヤブラン
B.葉っぱの特徴で分類
植物の分類には、他の切り口での分類もあります。それは、葉っぱの特徴別に分類します。
- 常緑性・・・年間を通して葉っぱがいつでも緑色をしている。
- 落葉生・・・冬の寒い時期には、葉っぱの緑色が赤や黄色、茶色に色が変わり、枝から離れて地面に落ちます。樹木や草の状態は幹と枝。茎だけの状態で冬の時期を過ごします。
葉っぱの特徴別の分類にはもう一つの分類方法があります。
- 広葉樹・・・葉っぱが平たいもので、葉脈が複雑に枝分かれしている。
- 針葉樹・・・葉っぱが針の様な形状のもの、葉脈が分岐せずにまっすぐな葉脈が平行に並んでいる。
葉っぱの分類は上記の二つの分類方法を統合して表現します。
- 常緑広葉樹・・・キンモクセイ、カシノキ、ツバキ、サザンカ、ミモザ、トキワマンサク
- 落葉広葉樹・・・モミジ、クヌギ、ナラノキ、サクラ、ハナミズキ、カツラ、バラ
- 常緑針葉樹・・・マツ、マキノキ、スギ、ヒバ、モミノキ、カイヅカイブキ、レイランディ
- 落葉針葉樹・・・メタセコイヤ、ラクウショウ、イチョウ、カラマツ
(※イチョウの葉っぱは見た目が平べったいですが、葉脈が直線状に平行して並んでいるので、針葉樹に分類されます。)
植えたい植物を選ぶ
上記の種類分けのことを踏まえて、高木、中木、低木、草花、地被類植物、の5つの分類ごとに整理して品種を選び出します。お庭に大きな高木はいらないという方は、高木を植えなくてもいいです。草花だけで地面を覆いつくしたいという方は、地被類植栽物をはずしていただいていいです。ただ、大きな植物から地を這うような植物まで、満遍なくまた、バランス良くお庭に植えてある方がお庭としてはまとまりやすく、キレイに仕上がります。
特定の大きさの植物だけを選んでお庭に植えると、個性と独自性があり、うまくまとめるとセンス良くまた、格好良いお庭になりますが、押えるつぼがずれてしまうと首をかしげるお庭になってしまうのでおススメできません。
樹種を選ぶのは、基本的にはその人の好きなものを選ぶのがいいと思っています。ご自分のお庭なのですから・・・しかし、落葉樹ばっかりを選んでしまうと、夏場は緑が生い茂りますが、冬になると、幹と枝だけになってしまい、全く緑がなくなってしまうので、まばらに常緑樹をちりばめる方がいいでしょう。また、常緑樹ばかりになると、秋の紅葉、冬の幹の線を楽しむ、春の新芽の芽吹きを楽しめなくなるので、バランスよく選ぶのがいいと思います。
配 置
高木の配置は基本的には、お庭の敷地の縁側に植えます。その少し内側に中木を植えます。キッチリ線引きをして植える方が不自然なので高木中木がある程度入り混じっていいです。
高木と中木の足元に低木を植えます。高中低木以外のところを草花や地被植物を配植しましょう。
もちろん、園路や、テラス等のプランがある場合はそのエリアをはずして配植のプランをたてます。
中高木は、3本を一組に考えて配植するとキレイにまとまります。そのとき、3本の位置を直線で結ぶと三角形になりますが、三辺の長さが三辺とも違う長さの三角形にしましょう。三角形同士は、少しだけ離す感じで配植します。そうすることで、だらだらっとならずに、リズムがつきキレイに仕上がります。
★不等辺三角形に配植する。(ふた組の配植の間隔を間を少しあける)
高木の中でも飛びぬけて背の高い木を1本お庭の目立つ場所にシンボルツリーとして配植すると、お庭自体に重厚感が出て、存在感が増します。
低木や、草花、地被類植物もお庭の奥の方に草丈の高いものを配植し、手前側に低い植物を配植しましょう。もちろん、背の低いのを後ろに植えると背の高い植物に隠れて見えなくなってしまいますから・・・。
まとめ
植物の分類分けを明確に理解したうえで、配植(位置決め)をプランすると、漫然と考えるのではなく順番に整理して役割を意識しつつプランニングが導かれるということを少し感じていただけたらと思います。
一足飛びにはいかないものですが、コツコツじっくりと楽しみながら取り組んでください。
次回は、石張りやウッドデッキ、ガーデンパン等の構造物のお話をいくつかします。
お楽しみに!
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