2016/02/27

庭師とめぐる、庭めぐり〜大徳寺塔頭・興臨院編〜

久しぶりの庭めぐりの記事です。

普通に庭園を周っていたら見逃してしまうような細やかな「をかし」ポイントを見つけ、その楽しみを皆さんにも伝えられたらと始まったこの企画。

今回の舞台は京都は臨済宗大徳寺派の総本山、大徳寺です。

今京都では「京の冬の旅」というイベント中で、普段非公開の寺社仏閣や庭園などが特別公開されています。

大徳寺では興臨院、芳春院、そして大徳寺本坊が特別公開されており、これは行くしかない!と思い立ち先日訪ねて参りました。

芳春院は10年ぶりの公開、大徳寺本坊に至っては19年ぶりの公開ということで胸躍っていましたが、なんと当日本坊は拝観休止しておりました・・・。丁度休みの日に行ってしまったみたいです。

芳春院は拝観はできたのですが、寺院内も庭園も全て撮影禁止ということでした。

寺院内には金閣寺・銀閣寺に並ぶ楼閣山水庭園があり、まさか大徳寺の中にこんな規模の庭園があったなんて!と驚きを隠せませんでした。庭好きならここは行くべきです。

というわけで、今回は興臨院を巡っていきたいと思います。

 大徳寺の豆知識

ひとつ誤解されがちなのですが、大徳寺は別にひとつの大徳寺という大きなお寺があるわけではありません。

まず最初に大徳寺というひとつの寺が開山され、そこで修業をつんだ僧たちが塔頭(たっちゅう)と呼ばれる師の墓を寺の側に建てる。

その墓を守るために弟子たちが小庵を立て・・・というのが繰り返され、後に塔頭(小庵)が寺院として独立し、今のようなお寺の集合体へと変わっていきました。

今大徳寺には20余りもの塔頭が存在します。

また大徳寺は一休さんで知られる一休宗純などの名僧を多く輩出していて、「村田珠光→武野紹鴎→千利休」の侘び茶の系譜を継ぐ3人を始めとする茶人も多く参禅していたことから、日本文化と深い関わりをもっています。

その証拠に大徳寺には全ての塔頭に茶室が設けられています。

 興臨院(こうりんいん)

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やってきました興臨院。

かなり格式高そうな門。調べてみると創建当時の遺構を残す重要文化財だそうです。

果たしてこの中にはどんな庭が待っているのでしょうか。

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お寺の門を潜るとこんな感じです。

まだ替えたばかりであろう青々とした真竹の手すりが気持ちの良いアプローチ。

入ってすぐ、早速おもしろいところを発見しました。

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手前のツバキを見てみると、なんだかとっても葉が長細いのです。

ふつうツバキといったらもっと丸い形をしていますよね。

恐らくこれは「百合椿」。ツバキの中でも最も細い葉の形をした種です。

他にもツバキには金魚の尾びれの形に似た「金魚葉」や、大きく凹む「盃葉」なんてものもあって、これらは変わり葉と呼ばれ親しまれています。

江戸時代の日本では園芸が盛んで、様々な変わった植物がつくられてきましたが、ツバキも例外ではなかったようですね。

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お寺に上がるとこんなお庭がありました。

常緑樹の葉っぱが透かされているせいもあってか、ごちゃごちゃしていない清々しい庭園でした。

手前の沢渡りの飛び石に使われている丸い石は石臼。これまでの記事で紹介したことがありますが、使わなくなった石臼を飛び石としてリサイクルしています。

こういったところに日本庭園のかわいさが垣間見えます。

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手水には綺麗なツバキとウメが飾ってありました。こういったおもてなしの心って本当にいいですね。さすが茶の湯と所縁が深い大徳寺です。

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方丈前庭。広い白砂に緑が映える枯山水

水を使わずして水を感じる。否定をもって肯定するという禅味を孕んだ日本の伝統美です。

白砂に描かれた砂紋は水面に広がる波紋を表しています。

こちらは昭和50年頃に復元された庭園だそうです。

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最も動きのある築山のところです。

平らに寝かせて据えてある石が多い中、正面奥に険しくそびえ立つ2石があります。

その裏にわざと根元が見えないようにマツと石橋が据えられていて、奥行き感を演出していました。

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茶室・涵虚亭(かんきょてい)に至る茶庭。露地です。

茶室の入口には貴人口と千利休が考案したにじり口が設けられています。

苔の中にポツポツと飛び石が据えられているのがなんともいえない味わいがありますね。

この飛び石もまた千利休が茶庭に取り入れたのが始まりとされます。

以上、興臨院の庭めぐりでした。

近いうちに同じく大徳寺塔頭の高桐院も見てきたので、記事にしたいと思います。

記事・・・飛田亮

 

投稿者: GardenPorter

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