2016/05/17

家紋に描かれた植物を見破れ!あなたは一体いくつわかりますか?

私の中で今、「家紋」が密かにブームを巻き起こしています。

現代ではあまり見ることは少なくなってしまいましたが、水戸黄門の印籠に代表される時代劇や、古い町並みやお寺の屋根瓦などふとしたときに目に映る家紋は、我々日本人がこれからも守っていかなければならない大事なシンボルマークです。

あの伝統美を感じさせるシンプルなデザインは、現代においてもまったく古臭く映らず、重森三玲よろしく永遠のモダンとも呼べるのではないでしょうか。

さて、家紋は鎌倉時代に生まれ、主なデザインは200種ほどあります。

それが今日までに多種多様な変化を遂げ、今では発展形をすべて含めるとなんとその数1万種以上を超えるのだそうです。

古くから植物大好きだった日本人ですから、その中には植物をモチーフにしたものが多々あり、今回はそんな家紋たちを紹介して、少しでも日本の伝統デザインに興味を持っていただけたらと思います。

中には今ではあまり見られなくなった植物もありますが、ちょっとした遊び心で初級、中級、上級とクイズ形式にしてみましたので、ぜひ当ててみてください。

 初級編

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まずは小手調べということで、この花を。

迷うとしたらあれかあれの、どちらかですよね。

ヒント・・・本州では3月頃に白やピンクの花を咲かし満開を迎えます。水戸の銘菓としても知られています。

答えはウメでした。

近畿・北九州に多く見られる家紋で、天神様を祭っている寺社に多く使われています。

上の写真は「梅花紋」ですが、他にも梅鉢紋、梅星紋などがあります。

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ウメときたら、ということで見なくても分かってしまうかもしれませんね。

ヒント・・・ウメと比べて、花弁の先に切れ込みが入り2つに分かれているのがポイントです。

答えはサクラでした。

装飾文様としては平安時代から使われてきましたが、以外にも家紋になったのは江戸時代からなんだとか。

利休七哲に数えられる細川三斎の細川家がサクラの家紋で有名です。

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3枚の葉が円形に並んでいます。落ち着いて見れば、きっと誰もがこの葉の形、身に覚えがあるはず。

ヒント・・・日本の街路樹に最も多く使われてる落葉樹です。

答えはイチョウでした。

上の家紋は「三つ銀杏」と呼ばれ、イチョウは葉の形のユニークさからか他にも様々なバリエーションがあります。

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個人的に、神奈川県の〇沢市によく通っていたことがあるので見覚えのある家紋です。

ヒント・・・マメ科のつる性植物。よくパーゴラやフェンスに這わせて、トンネルをつくっているところもありますね。

答えは、フジでした。

上の家紋は花が下垂しているので「下り藤」ですが、逆向きの「上り藤」もあります。

藤原一族の家紋として有名です。

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初級編ラストです。ちょっと花に詳しくないと難しいかもしれません。

ヒント・・・秋になると紫色の花を咲かせます。笹のように細い葉も特徴的です。

答えはリンドウでした。

上の家紋は笹のような葉も描かれているため「笹竜胆」と呼ばれます。

源氏とゆかりの深い家紋で、鎌倉市のシンボルにもなっています。

 中級編

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で、でたー!と言ってしまいたくなる家紋の中でも最も有名な家紋、キングオブ家紋ではないでしょうか。

でもこれがなんの植物なのか、皆さんご存知ですか?

ヒント・・・山野草として扱われることの多いウマノスズクサ科の宿根草です。京都の有名な祭りにも使われています。

答えは、アオイでした。正確に言うとフタバアオイです。

水戸黄門のこれが目に入らぬか!の印籠で有名なように、上の家紋は「徳川葵」と呼ばれます。

江戸時代、徳川家しかこの家紋を使うのは許されなかったことから、水戸黄門の印籠は絶大な力を持っていたわけなんですね。

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ウメやサクラと似ていますが、花好きの方ならきっとわかるはずです。

ヒント・・・秋の七草に数えられ、花弁の先に細かい切れ込みが入るのが特徴のピンクや白色の花を咲かせます。

答えは、ナデシコでした。

美しい日本女性のことを「大和撫子」というように、古来より愛されてきた植物なので、家紋にも多く使われてきました。

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今までのと似ていますが、よく見比べれば違いに気付くはずです。

ヒント・・・秋の七草に数えられ、主に紫色をした星形の花を咲かせます。

答えは、キキョウでした。

江戸時代、家紋は男性しか身に着けられず、女性はこの桔梗紋を用いていたため代表的な女紋として知られています。

戦国時代には明智光秀が使っていたことで有名です。

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近頃は町中であまり見られない木なので、少し難しいかもしれません。

ヒント・・・ゴマノハグサ科の落葉樹で、筒状の紫色の花を咲かせます。丁度今が見頃です。

答えは、キリです。

上の桐紋は3本の花序に3-5-3と花が付いているので「五三の桐」と呼ばれますが、5-7-5の「五七の桐」もあります。

かなり格式高い家紋で、皇室や室町幕府、豊臣政権、現在では日本国政府の紋章としても使われています。

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中級編ラスト。葉と実からなる家紋です。

ヒント・・・厄除けとして正月飾りに使われます。秋の紅葉と赤い実が美しいです。

答えは、ナンテンです。

実が長く付いていることや縁起物であるめでたさから、家紋として使われてきました。

 上級編

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ここからはヒントなしでいきたいと思います。

なにやらもこもこした形ですが、わかりますか?

答えは、ボタンです。

上の牡丹紋は「大割り牡丹」と呼ばれる家紋です。

江戸時代、牡丹紋は菊、桐、葵紋に次いで権威のある家紋として使われていました。

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タケノコのように葉が連なり、よくみると一番上に花らしきものが描かれています。

果たしてなんでしょうか。

答えは、ミョウガです。

マイナーなように見えてかなりバリエーション豊富で多く使われてきた家紋です。

ミョウガは薬や厄除けに使われ、神の加護があるとされてきたため寺社に多く使われています。

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これはかなりの難問なのでヒント書いておきます。

ヒント・・・タデ科の多年草で、夏に白い小花をたくさんつけた花穂を咲かします。

答えは、イタドリです。

繁殖力の強さから今では雑草扱いされますが古くは食用にされ、未開地の開墾にあたる部族が家紋にしていたそうです。

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ボリューム感のある花のように見えますが、これは少しひっかけです。怒らないでください。

答えは、ヤマブキです。

普通ヤマブキは五弁花なのにこのボリューム、恐らく八重咲きのヤマブキを家紋にしたのでしょう。

橘家の家紋として使われています。

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最後の家紋です。

え、これさっきの水戸黄門のやつじゃん!と思った方、似ているけれど違うんです。

答えは、コウホネです。

スイレン科の水生植物で、アオイと比べると葉脈の向きに違いが表れていますね。

徳川家が葵紋を規制した後、この河骨紋が民衆の間で使われるようになったそうです。こういうグレーゾーンをすり抜けていく江戸っ子の感じ好きです。

しかし黄門様の印籠が河骨紋になっても、正直わからないような・・・。(笑)

以上、日本の伝統デザインである家紋をほんの少しですが紹介してきました。

これを機に、自分の家紋がなんなのか〜とかも調べてみると面白いかもしれませんね。

今週のお題「植物大好き」

記事・・・飛田亮

 

投稿者: 飛田

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