かなり久しぶりの「庭めぐり」ですが、今回は香川県高松市にある栗林公園が舞台です。
今週、ブログを更新しませんでしたがそれには理由があり、香川県まで庭づくりの出張に泊まり込みで来ていたため更新する時間がなかったからです。
庭づくりはスムーズに進み、時間に空きが生まれ、現場近くの栗林公園を散策できたので今回はそのことを記事にしたいと思います。
栗林公園は国の特別名勝に指定されている日本庭園の中で最も広い面積を誇る、とてつもなく広い庭園です。
広いうえに見どころがありすぎる為、じっくり立ち止まって見ていては一日があっという間に終わります。
さすがに仕事で来ていたのでそこまで時間が取れず、早足で見て回ったので大雑把な紹介になりますがご了承ください。

栗林公園東門。ここが正面玄関になります。
美しく立派に仕立てられたマツが顔を覗かせ、借景の紫雲山の迫力もすさまじい・・・!
入り口ですでにこのレベルです。
栗林公園は海外からの評価も高く、ミシュランの三つ星も獲得しているのだそう。


入り口近くのクロマツ。圧巻の美しさです。
迫力のある大マツですが、小気味いい段々に仕立てられており実に優雅。
園内にはこのようなマツがゴロゴロしており、その数なんと1400本。
そのうち1000本が職人によって代々仕立てられてきました。
この記事にこれから度々マツの写真が出てきますが、それは1400本の中から私が気になったお気に入りのマツたちです。


園内では主に芝が築山風に張られ、そこに樹木が植栽されています。
一般的な大名庭園といえばそうなのですが、他の大名庭園よりも園路と植栽地の境界がはっきりしているように感じられました。
園路の際をだいぶ盛り上げることでエッジが効き、そこが美観が整うポイントなのですね。

いい枝ぶりのマツ発見。

しばしマツ林を進む。
左が手入れされたマツ。右が手入れの入っていないマツ。一目瞭然ですね。
右のマツは園外との壁の役目を担っているのでしょうか。

しばらく進むと梅林が見えてきました。もうかなり咲き始めていますね。
それもそのはず。香川県はとても暖かく、この日は日中12℃くらいのポカポカ陽気でした。



見頃を迎えているウメがたくさん。
梅林はたくさんの人が写真を撮ったりと賑わっていました。

こちらが香川県の梅の標本木。栗林公園の梅林内にあります。
なんと今年全国でもっとも早く開花したウメの標本木がこの木です。
なるほど。だから香川県はこんなに暖かいんですね。

梅林を過ぎるとハス池が見えてきます。
シダレヤナギの枝が風にたなびき、枯れたハス池と相まっていい感じの寂び具合を醸し出していました。


園内の大きな見どころの一つである鶴亀の松。枝ぶりが美しすぎる。
ゴツゴツとした石組みが亀を、その上のマツが飛翔するツルを表しています。

ちなみにこの竹垣はななこ垣といいます。
竹垣の中でもかなり簡単につくれる部類ですが、栗林公園のものは少し背丈も大きめで立派に作ってあります。

このマツも。

このマツも!

このマツもいい!
本当に栗林公園はマツの宝庫ですね。ずっと見ていたいです。

マツの枝越しに見る池泉。たまりませんね。


しばらく進むとマツに丸太と三脚で足場を作り、ハサミ透かしをしていました。
これだけの大きさと数のマツ、剪定するのはかなり大変そうですがとても誇らしい仕事だと思います。頑張ってください!
ちなみにこの生垣のように四角く仕立てられたマツは「箱松」といい、園内の随所に見られます。圧巻です。

休憩所の藤棚、ではなくビナンカズラ棚。
ビナンカズラを使っているのは初めて見ました。

赤い実がまだちらほら残っていました。
フジも綺麗で良いですけど、頭上にポンポン実がなるのも可愛らしいですね。

こちらはすでに手入れが終わった箱松。見事に綺麗に透かされていました。

幹側から覗けばまるでマツのトンネルのよう。
マツ越しに見上げる雲一つない青空は実に清々しかったです。

しばらく進むと茶室「日暮亭」。
茅葺きの看板が侘びた風情を醸し出しています。

なにやら人がいてガヤガヤしていると思ったら、竹垣を制作していました。
露地と園路の境界の四ツ目垣の制作です。
四ツ目垣は基本的な竹垣ですが、それ故に竹の切り方や扱い方がキチンと身についていないと綺麗に作れない難しい竹垣でもあります。

こちらが「日暮亭」です。
屋根の上に溜まったマツの落ち葉を熊手でかき落としていました。
溜まっている量も尋常じゃありません。

日暮亭の門。細やかな竹の格子模様が美しい扉。

あられ崩しの延べ段。
細かな石を敷き詰めたものをあられこぼし。上の写真のように大きな石が混じるものをあられ崩しといいます。

栗林公園の最西端。紫雲山の麓まで来ると赤色の石壁が見えてきます。

この西湖にはスイレンが咲くようです。

石壁には桶樋滝が流れます。この滝は人工の滝で、昔は人力で山の中腹まで水を運び、殿様を楽しませていたようです。
以上、前編はこれで終わります。
次回は続きを書いていく予定ですのでお楽しみに。
記事・・・飛田亮