2016/03/05

庭師とめぐる、庭めぐり〜大徳寺塔頭・高桐院編〜

今回の庭めぐりは大徳寺塔頭のひとつ、高桐院(こうとういん)を訪ねていきます。

高桐院は利休の弟子、利休七哲の一人の細川三斎と所縁のあるお寺です。

苔の美しい参道は観光用のポスターやCMに起用されているので見たことある方も多いと思います。

大徳寺についての説明は前回の記事に書いたので、目を通して頂けるとありがたいです。

↓大徳寺について↓

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こちらが高桐院の入口です。

大徳寺の境内を歩いていると、ふと現れるこの参道。

静かな大徳寺の中でもひと際清閑さが際立つこの参道。

青々とした竹柵が突きあたりで折れ曲がり、世俗を離れた閑の世界へと誘っています。

図太く立派なマツが立ち並ぶ境内で、幹が細く綺麗に透かされたマツの並木は、竹と苔の青さと相まって爽やかな雰囲気を感じさせてくれます。

 

奥へ進むとこの通り。長い参道はまだまだ続きます。

周りの木々が生い茂り、切り石を使っていた石畳は自然石を用いた深山の趣きへと変わっていきます。

清閑さは増していき、竹と苔の青さも一層際立っている様に思えます。

ちなみにこの参道が先ほど言ったポスターに使われています。

ここで注目して欲しいのがこのです。

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これは「ハイゴケ」。横に這うように育ち、苔玉によく使われる苔です。

日光が丁度よく当たることで、明るい黄緑色に発色します。

地被力の高いハイゴケが良く育つ環境だからこそ、この美しい景色はつくりだされたのですね。

苔といえば120種以上もの苔が自生していることで知られる西芳寺が有名ですが、高桐院はほぼハイゴケ1種でこの美しさ。恐るべきハイゴケの繁殖力です。

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ハイゴケの参道を抜け、ようやく目の前にお寺の入口が見えてきました。

しかしまだ中には入れません。

それはずばり、横にはあまり見慣れない面白い竹垣があるからです。

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よく見ると竹の穂を束ねて垣根にしています。

これを「竹穂松明垣(たけほたいまつがき)」と言います。

もともと松明垣というのがあって、割竹を束ねた様が松明のように見えることから名付けられましたが、それの竹穂バージョンですね。

竹穂すらも無駄にせず、美しい境界に仕上げてしまう日本人の精神に感服です。

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いよいよお寺に上がって散策開始です。

こちらは意北軒。聚楽第に建てられていた利休の屋敷の書院を移築したものです。

書院にしては違い棚などが無く、全体的に山水画のグレーのトーンで統一されていて、黒を愛した利休の好みが色濃く反映されています。

ただならぬ雰囲気に私はしばし見惚れていました。

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こちらは茶室「鳳来」。

床の間の掛け軸には「一鳥啼山更幽」という禅語が書かれ、鳥の文字には実際に鳥の絵が描かれていました。

意味は「鳥がないて、山の深さがより深められ、しずかさの幽境そのもの。」だそうです。

面白いことに真逆の意味の「一鳥不啼山更幽」という言葉もあるようです。

鳥の鳴き声で深まる静寂と鳴き声すらしない静まり返った静寂。

皆さんはどちらの方が静かだと感じますか?

ちなみに障子の上には桜の透かし彫りがされています。

これは細川家の家紋で、細川桜と呼ばれるものです。

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客殿から望む南庭。

「楓の庭」と呼ばれ、紅葉スポットとしても知られています。

深山を思わせる竹林と常緑樹を背景に、モミジと苔、一基の石灯のみで構築されたシンプルな庭です。

比較的新しく、昭和の時代に造り替えられたそうです。

白砂の枯山水が多い大徳寺の中ではかなり新鮮な庭でした。

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雨落ちは瓦で仕切られ、木炭が敷きつめられていました。

水の流れを良くし、浄化する作用があるのでしょう。

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さて、お寺から専用のスリッパでお庭を散策できる様になっているのでこれは行ってみる他ありません。高桐院、見所ありすぎです。

クマザサの白く輝く斑模様が緑に映え、美しいです。

また所々に苔むした石灯が佇んでいて楽しませてくれます。

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特にこの灯籠が面白かったです。

苔の帽子を被っているみたいでとても可愛らしい。

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とにかく色んなものがハイゴケに覆われていました。

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こちらは見所の降り蹲踞

飛び石の階段を数段下ったところにこの蹲踞があります。

この手水鉢は三斎お気に入りのものだそうです。

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他にも枝ぶりのかっこいいドウダンツツジや、

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おもむろに行く手を阻むソテツと綺麗な枝折戸もありました。

奥には三斎とその妻の墓も見ることが出来、見所いっぱい大満足の庭めぐりでした。

心落ち着くおすすめの庭なので、ぜひ機会があれば行ってみてください。

記事・・・飛田亮

投稿者: 飛田

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