久しぶりの庭めぐり、今回見ていくのは建仁寺の塔頭・両足院です。
京都でも名高い寺院の一つである建仁寺。竹垣の建仁寺垣でも有名ですね。
本坊の庭は割といつも公開していますが、今回紹介する両足院はなんと期間限定です。
今年は6/6〜7/6までの特別拝観でした。残念ながらもう終わってしまってます。
何故この期間だけの公開なのか、それはずばりハンゲショウが咲く庭だからです。
ハンゲショウを知らない方の為に、少し解説します。
- 学名・・・ Saururus chinensis
- 属名・・・ドクダミ科ハンゲショウ属
- 別名・・・カタシログサ
- 花期・・・6〜7月
- タイプ・・・多年草
七十二候のひとつである半夏生の時期に咲くハンゲショウ。
名の由来の一つには、葉が片側だけ白く変色し化粧をしているように見えるためだとも言われています。
花期にはドクダミに似た香りを放ちます。
近年は減少傾向にあり、絶滅の危機に瀕している地域もある模様。
どおりで私は今回初めてハンゲショウを目にしました。
さて、それではいよいよ両足院の庭をめぐっていきたいと思います。
なおカメラの関係で写真が少しセピア色がかって見づらいですが、お気になさらずに(笑)
こちらが両足院の入り口です。
建仁寺の境内の端っこの方にあるので、見つけづらいかもしれません。
この階段を上がった先の境内では寅市という手づくり市がたまに開かれていて、前にちらっと覗いたときは賑わっていました。
順路の通りに進んでいくと、まず目にするのがこの枯山水の庭です。
建仁寺は臨済宗の大本山でもあるので、禅僧の庭である枯山水もつくられました。
ここで注目したいのが中央にそびえる大きなイヌマキです。
普段目にするイヌマキとは想像もつかないほどの軽やかな姿。
幹や枝ぶりがよく見え、まるでマツと見間違えるほどの緻密な葉の透かしようです。
凛とした涼しげな雰囲気にしばし見とれてしまいました。
続いてはマツとスギゴケの緑を楽しめる、京都のお寺の代名詞的なお庭。
男松と女松を対比したりしてのんびりと眺めていました。
ちなみに皆さん、この写真中央に置かれた石がなにかご存知ですか?
見づらいと思うので拡大写真を。
どうでしょう。日本庭園に行った際には割とよく目にすると思います。
正解は、関守石といいます。
こぶし大程の石にシュロ縄を結んだだけの簡単な作りですが、ここから先は入ってはいけませんよという結界の意味があります。
なにも知らない海外の人は気にせず通ってしまうかもしれませんが、我々日本人には知らずともなにか心に引っかかるものがあるかと思います。
竹垣や生垣、障子や襖、そして関守石。
こうして考えてみると日本の境界・結界はとても興味深いですね。
しようとおもえば簡単に乗り越えたり壊してしまえるものを境界にすることは西欧ではあまり考えられません。
特に関守石なんてちっぽけな石一つですからね(笑)
ほぼ全てが受け手の裁量に委ねられている。ここに日本人の高い精神性が垣間見えた気がします。
さて、ハンゲショウの咲く庭を紹介する前に一つ気になったものを。
こちらは寺院内の書院にあった天袋ですが、引き手に注目してください。
そう、これは以前の記事で紹介したあの植物の家紋です!
ようやく実際に目にすることができました。
なんの植物か気になる方や、忘れてしまった方はぜひ以前の記事をチェックしてみてくださいね。
こちらがハンゲショウの庭、メインだけあって広いです。
大きな池を縁どるようにハンゲショウが植えられていました。
それもそのはず、ハンゲショウは乾燥が苦手で湿った土壌を好みます。
よく考えて植えられているなあと感心しました。
私が訪ねたのは7月に入ってからだったので、もう葉の白さも落ち着いてしまったそうですが十分に白く輝いていました。
ちなみに花が終わると地面から30cm程のところで刈り込んでしまうのだそうです。
普段あまり見られない花だけに、毎年ここで咲き続けて欲しいですね。
以上、建仁寺塔頭・両足院でした。
ぜひ気になった方は半夏生の時期になったら訪れてみてください。
記事・・・飛田亮